条件反射制御法とは

条件反射制御法とは、パブロフの犬で有名なパブロフ学説をもとに考案された依存行動を予防するための方法です。
条件反射を成業できるようになるために、4つのステップが構成されており、その順序に沿って進めていきます。

薬物依存、アルコール依存などの改善にも用いられている方法ですが、カウンセリングの中では入院施設のある病院のように集中的にこの方法を行うことはできませんが、多少カウンセリング用にアレンジした方法で行っています。

3つの条件反射

依存症は、条件刺激という本来は反応を誘発するきっかけにならない刺激と反応が結びつき、定着してしまった状態です。
その結びつきに対する対処が依存症を改善するために必要なのですが、その方法が条件反射制御法です。
条件反射制御法を理解するためには、3つの条件反射の違いをりかいするところからはじまります。

生まれ持っている条件反射

人間の遺伝子レベルで本能的に組み込まれている条件反射。
例えば、好きな食べ物を食べると、たくさん唾液が出てきて消化を助ける、というような働きは条件反射で生じています。
厳密には、これは無条件反射と言われるものです。

第一信号系条件反射

学習によって身に着いた条件反射を第一信号系条件反射と言います。
食べ物を何度も食べて、その味を想像できるようになっていると、その食べ物を目にしたり、臭いを感じるだけで唾液が出てくるというような反応のことを言います。

第二信号系条件反射

第二信号系条件反射とは、言葉が刺激になって働く条件反射のことです。
例えば、美味しい食べ物が夕食に出たとしても、食事は家族全員がそろってから「頂きます」と言ってから始まることを教わっていたら、見たり臭いを嗅いだりしただけで食べようとはせず、「勝手に自分だけご飯を食べ始めることはできない」と自分に言い聞かせて我慢をします。
このように、言葉で教えられたことが習慣として確立される第二信号系条件反射があります。

依存症と条件反射

依存症とは、快楽を得られる行為を繰り返すことによって、第一信号系条件反射が強化され、快楽を得られる行為を求めずにはいられなくなった状態です。

例えば、アルコールを飲んで気分が良くなった経験をすると、もう一度その感覚を味わいたいと思いアルコールを飲むことを続けることで、いつでもアルコールが飲みたくなってしまう状態です。

アルコールは、思考力、運動能力を低下させてしまうので、時と場合を考えずに飲むものではないと知っていても、アルコールを飲むことを止める思考より、アルコールを見たり、臭いをかいだり、悪化すると想像するだけでアルコールがどうしても飲みたくなる条件反射が身に着いてしまうと、思考の力で行動を抑止することが難しくなってしまうのです。

依存症の改善と条件反射制御法

依存行動を止めるには、依存行動につながる第一信号系条件反射を弱める必要があります。
依存行動につながる衝動が起きた時に、『今後、依存行動をしない時間が続く』という思考が生じるような条件反射を身に付ける必要があります。
その方法が条件反射制御法であり、通常は4つのステップ行っていきます。

1.キーワード・アクション

条件反射のスイッチとなる動作を決め、「○○はできない」と言いながら決めた動作を繰り返すという段階です。

2.疑似接種

疑似接種とは、アルコールなら代わりに水を飲むというように、依存行動を行っても同じ快楽は得られないということを何度も体験する段階です。

3.想像

想像は、自分が依存行動を行っていた状況、その前の心情などを思い出して文章に起こし、それを読んでもらうという段階です。

4.維持

維持とは、1〜3を繰り返すという段階です。
繰り返すことによって、抑止のための条件反射が強化されていきます。

依存症は、脳に依存の回路が形成されている状態なので、別の方法で抑止の回路を形成する必要があり、回路が強力であるほど条件反射として作用するようになります。

条件反射制御法を行っている病院は限られますが、アルコールや薬物への依存の場合は入院による治療が必要であったり、薬物の場合は疑似接種の注射を使うこともあるので、病院で条件反射制御法を受けることが望ましいと言えます。

カウンセリングの中で行う場合は、上記のステップをカウンセリング用にアレンジした方法を提案しています。


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