解決したい問題に適した心理的アプローチの選択
世の中には、カウンセリング、セラピー、コーチングの違いが良くわからないという方も多いと思います。
自分が解決をしたい問題を抱えた時、それぞれの特徴を知っておくこと誰に相談すればいいのかを判断しやすいようにカウンセリング、セラピー、コーチングの違いについて記事を書きましたので参考にして下さい。
カウンセリング、セラピー、コーチングで共通している点といえば、話を聴くこと、その上でアドバイスをしたり、ワークを提案したりしてクライエントの心理的な回復や成長を促すという点です。
話を聴くという点おいては、どのような支援をするかを判断するために欠かせないものですが、そこから先のアプローチには違いがあります。
具体的な違いの前にそれぞれの主な特徴を把握しておいて下さい。
3つ心理的アプローチの主な特徴
- カウンセリング・・・援助的なアプローチ
- セラピー・・・治療的なアプローチ
- コーチング・・・指導、教育的なアプローチ
この特徴を踏まえて、それぞれの違いについて説明していきます。
カウンセリングの特徴
カウンセリングは、セラピーやコーチングに比べると援助的に関わる方法です。
クライエントとカウンセラーが対話をすることで、カウンセラーからの質問や指摘が気づき、意欲、自己解決力を刺激することとなり、クライエント自らの力で悩みの解決を図っていくことを狙いとしています。
援助的なアプローチで悩みが解決するということは、とても理想的であると言えます。
それは、クライエントの力で解決したという側面が強いので、クライエントの経験となり、自尊心も高まり、自己解決力が養われやすいからです。
ただ、カウンセラーは、援助的なアプローチしかできないとなると、プロとしては不十分です。
カウンセラーであっても相談内容やクライエントの自我の強さによっては、治療的、指導的なサポートもできなければ、さまざまな悩みに対応できません。
話を聴くことはできるけど、クライエントが求めているアドバイスや情報提供ができないということでは悩みの解決に至らない場合もあります。
また、セラピーの知識を活かしたアプローチが必要な場合もあるので、いくつかの方法は身につけておくことが望ましいです。
セラピーの特徴
セラピーは、カウンセリングやコーチングに比べると治療的に関わる方法です。
クライエントの不安定な状態を安定に導くことを目的としたアプローチを行う方法です。
話を聴くというよりも、クライエントの心や体に対して変化を促すような対応をします。
例えば、考え方や行動を変える、心が楽になるように導く、何かをしてもらうことによって心身の変化を促すなどの方法があります。
セラピーを行う上で気を付けなければならないことは、クライエントの話をよく聴いて、どのセラピーが適しているのかを見極めることです。
セラピーを得意としていてもカウンセリングの能力も必要だということです。
またセラピーを学んでいる専門家で、セラピーのことは詳しくても人間の心や体のことについての知識が乏しいのは危険です。
自分が学んだセラピーに対して過度な自信を持って、よく話も聴かず、聴いた話を専門的に分析する知識も持たずセラピーを行ってもクライエントは良く
ならないばかりか、悪化したり別の問題が生じてしまうので、セラピーが得意でもカウンセリングができ、医学的、科学的な知識が必要です。
コーチングの特徴
コーチングは、カウンセリングやセラピーに比べると指導的に関わる方法です。
専門的な知識、有益な情報をもとにクライエントがどのように行動すれば悩みが解決するのかという道筋を示す力が必要です。
イメージとしては、カウンセリングがクライエントの隣で寄り添う援助だとしたら、コーチングは一歩前からクライエントの状態を見極めて導く援助と
認識してもらえばいいかと思います。
ただ、コーチングを行う場合でも、カウンセリング的なアプローチができることは大切です。
コーチングは、0の状態からプラスの状態に導くアプローチだとしたら、カウンセリングとセラピーは、マイナスの状態を0の状態に戻すアプローチ
なのですが、最終的にコーチングが必要な人でも悩みを相談してきた時はマイナスの状態である場合が多く、関わっていく過程の中でもマイナスの状態
に陥ることがあるので、それを見過ごしたり、気づいているのにコーチング的なアプローチしかできなければ、多くの人を悩みの解決というゴールに導く
ことは難しいでしょう。
カウンセラーの得意なアプローチ
カウンセリングを行う人はカウンセラー、セラピーを行う人はセラピスト、コーチングを行う人はコーチと分類することができますが、実際はカウンセリングの中でも3つのアプローチを使い分けています。
意識的に使い分けているカウンセラーもいれば、自然と自分が得意なアプローチを軸にカウンセリングを行っているカウンセラーもいると思います。
ただ、カウンセラーは出来るだけ自分が得意なアプローチ方法を理解しておいた方が良いと思います。
自分がどのアプローチ方法が得意かわかっていると柔軟かつ適切な対応ができますし、クライエントに対して他の解決方法を提案することもできます。
特にセラピーとなると、一人の専門家があらゆるセラピーができるということはありません。
セラピーには特殊な技術が必要である場合が多く、しっかりと理論と技術を学んでいるものを提供することが望ましいと言えます。
ちなみに、私(衣川)はカウンセリングとコーチングが得意なカウンセラーです。
また、AXIAに寄せられる悩みの相談もカウンセリングとコーチングによるアプローチが必要なものが多いように感じています。
私は、カウンセリングを受けていただくなら、カウンセラーとの対話を通じてクライエントのセルフカウンセリング力を高めることが重要だと考えているので、そのためにカウンセリングとコーチングによるアプローチを重視しています。
土台となるのは信頼関係
カウンセリング、セラピー、コーチングのどのアプローチもクライエントとの信頼関係が築けてこそ有効なものになると感じています。
そのためには、クライエントとの関わり方はセッションに入ってからだけではなく、申込があった時点、来談の後の挨拶やセッションの説明などを含めて丁寧に行うことが必要だと思っています。
クライエントに有益なセッションができるカウンセラーは、セッションに入る前の段階である程度の安心感をクライエントに持ってもらうことを意識しているように感じます。
また、弊社ではその意識を持つように指導しています。
カウンセラーとしてという前に1人の人間としてわざわざ自分を選んで相談に来てくれた人に敬意を持って接するという心構えは忘れずにいたいと考えています。
土台となる信頼関係があるからこそ、カウンセリング、セラピー、コーチングは効果を発揮するものだと思っています。