カウンセラーになりたくて、大学やカウンセリングスクールでカウンセリングを学んだ人の中には、アドバイスをすることは良くないという認識を持ってる人がいます。
または、アドバイスとは何かということを具体的に理解していない人がいます。
この記事では、カウンセリングにおけるアドバイスについて説明したいと思います。

アドバイスとは技術である

カウンセリングにおけるアドバイスとは一つの技術です。
そもそもカウンセリングというもの自体がコミュニケーションによって人の社会適応を援助する技術であり、その中で行うアドバイスもカウンセリング全体を支える一つの技術なのです。
以下のようなポイントが、アドバイスが技術であると言える要素です。

  • 学術的な根拠がある
  • 信頼関係を築いておく必要がある
  • タイミングを見極める必要がある
  • 相手の潜在的、顕在的ニーズと一致する必要がある

学術的根拠の必要性

アドバイスを主観的に行ってしまうのは素人であり、クライエントのを見ていません。
自分のアドバイスが感情的なもの、自分の経験だけに基づくものだと主観的になってしまいます。
アドバイスする際の感情が相手へのポジティブなものであったとしても、自分の経験上上手くいったものであったとしても、それが根拠になってはいけません。

カウンセリングでは、主に精神医学、脳科学、神経学、性格学、薬物の知識などが必要となります。
カウンセリングというコミュニケーションは、相手の話を心で受け止めて感情や態度という点では共感をしつつ、同時に頭の中では冷静な分析を進めなければなりません。
しかし、知識がなければ冷静な分析を行うことができず、自分の感情や経験だけを根拠にアドバイスをしてしまうのです。

信頼関係について

アドバイスは、その内容が適切なものであっても相手が納得して受け入れてくれること、生活の中に伝えた内容の影響が反映されなければ意味がありません。

『正しいこと』だからと言って、それが相手に伝わるとは限らないのです。
ある程度の勉強をしているカウンセラーなら、クライエントの話を聴いた上で思いつくアドバイスにあまり大差はありません。
しかし、カウンセラーによってクライエントへの伝わり方は違ってきます。
アドバイスの鉄則は、何を言うかよりも誰が言うかが重要 だということです。
クライエントとの信頼関係があってこそ、カウンセラーのアドバイスの浸透度は高まるのです。

タイミングの見極め

アドバイスは伝えるタイミングが重要です。
それは、内容が正しくても相手が受け入れることができなければ意味がないからです。

タイミングには、信頼関係を築けているかどうかという関係性のタイミング相手がアドバイスを受け止められるかという状況的なタイミングがあります。

信頼関係については上記で説明した通りですが、状況的なタイミングというのはクライエントの心理状態、健康状態、環境などです。
アドバイスをする際には、クライエント側のタイミングをしっかりと確認することが必要です。

相手の潜在的、顕在的ニーズとの一致

カウンセラーは、カウンセリングの中でクライエントが求めている潜在的、顕在的なニーズを把握しなければ良いアドバイスはできません。

クライエントが、自分はどんなアドバイスを求めているということを自覚している場合は何を伝えてあげた方が良いのか分かりやすいのですが、クライエントも自覚できていない潜在的なニーズがある場合、話を聴きながらクライエントが上手に言語化することのできないニーズを感じ取り、それに合わせたアドバイスができる力が求められます。

アドバイスを技術として高める方法

カウンセラーは、アドバイスを専門家としての技術として高めるために上記の4つの要素を理解して技術の向上に励まなければなりません。

カウンセリングを終えた時、自分が行ったアドバイスを4つの要素に照らし合わせて検討して、伝える必要があったのか、クライエントの援助になったのかを振り返ることが必要です。

振り返りをすることが、次のカウンセリングの中でのアドバイスの精度を高めることになるので、カウンセリング全体とアドバイスについて振り返る習慣を持つことがカウンセラーとしての専門性を高めることになるのです。