人間関係がいつも壊れてしまうという悩み

人間関係で適度な距離感を保つことができないことにより、自分から関係性を壊してしまうという問題を抱えた人がいます。
下記の赤字で書いてある部分が自分に当てはまるという方は、この記事を最後まで読んで頂ければと思います。

自分は見捨てられるのではないかと不安になる

その人は、最初は相手のことを過度に好意を持ち、距離を縮めるのですが、関係性ができてしまい仲が良くなっていくと、自分が相手に受け入れてもらっているのかを試すような態度をとるようになります。
相手が困るようなわがままを言ったり、相手を否定するような言動を言って、相手がそれでも自分を受け入れてくれるのかを試すのです。

このような一貫性のない言動の背景には、人から見捨てられたくない、見捨てられるのではないかという不安があり、相手の心を試す行為として不安定な言動を繰り返します。
その言動は、あまりにも激しいために相手はその人と人間関係を維持することが難しくなって、相手は離れて行ってしまします。

上記のような行動を、接近と回避というのですが、接近と回避を繰り返して相手との関係を不安定なものにして人間関係を壊してしまう心理的な特徴のことを境界性パーソナリティ障害と言います。

これは、人間関係において、他人との関係性の変化に応じて、相手との境界を見極めることができないという心理的な問題です。

境界性パーソナリティ障害の特徴

境界性人格障害の主な特長は下記の通りです 。

  • 感情が不安定で、衝動的な行動が目立つ。
  • 人間関係の初期は、友好的かつ献身的な態度で接してくれるが、一定の親密さが
    生まれ始めた頃から、見捨てられたくない不安から、人を試すような行為が増える。
    (いきなり感情的に怒る、暴れたり暴力的になる、自傷行為や自殺未遂をするなど)
  • 他人からは理解しがたい怒りをぶつける。
  • 人を異常に疑い、妄想的な理由まで作りあげる。
  • 精神的な空虚感がある。
  • 自分を傷つける行動する。
    (浪費、不特定多数の人との性行為、過食、危険な運転、リストカットなど)

・・・など

境界性パーソナリティ障害の原因

一般的に境界性パーソナリティ障害の原因は家族にあると言われていますが、実際にカウンセリングで話を聴いていると親子関係で複雑な葛藤を抱えながら大人になった方がこの心の問題を抱える傾向があると感じています。

もともと家族への愛着を持ちやすく、心の安定に親子関係が強く影響するタイプの人が、親からの愛情不足を感じながら育った場合に、境界性パーソナリティ障害という問題を抱えやすくなります。

自分は親からの愛情を求めているのに、十分な愛情を感じることが出来ずに、子供ながらに見捨てられることへの不安を抱えながら育つということは、心への負担が大きいと言えます。

親の愛情を感じられないということは、家庭内で安心と安全を感じられないということでもあり、人間の脳は安心と安全を感じられないと自己防衛のための働きを強化します。
自己防衛の方向性が境界性パーソナリティー障害の特徴に該当するものだった場合、その自己防衛が定着してしまい人間関係を自分から壊すようになってしまいます。

境界性パーソナリティ障害とカウンセリング

境界性パーソナリティ障害の方がカウンセリングに来られる割合は決して多くはありません。
その上、人間関係を築くこと、相手を信頼することの難しさを抱えているので、カウンセリングでもカウンセラーに対する強い疑いを持ってしまう傾向があります。

これまで、何名かの境界性パーソナリティ障害の方の相談を受けてきましたが、カウンセリングに長く通い、ある程度自分の問題をコントロールできるようになった方は数名です。

ただ、しっかりとカウンセリングを継続することで、変化がみられる問題であると感じているので、カウンセラーとの関係で不安定な感情が生まれることもあると思いますが、根気強く通うことが改善につながると考えています。
実際に根気よくカウンセリングを続けたことによって、現在は結婚して子育てもしっかりとされている方もおられます。

自分が人間関係を上手く築けないと悩んできたことは、境界性パーソナリティ障害だったからかもしれないと感じる方はカウンセリングを受けることも検討してみて下さい。

ただ、カウンセリングを受けるときの注意点は、カウンセラーに対する不信感や反感が自分の中に生じても、それを乗り越えてカウンセリングを継続することが大切だという点です。

身近な人が境界性パーソナリティ障害かも知れないという方へ

実は、カウンセリングには境界性パーソナリティ障害の人が相談に来られるよりも、自分の周囲に境界性パーソナリティ障害の人がいて、その人との関係で悩んでいるという方が相談に来られるケースの方が多いです。

友達、職場の同僚、恋人、結婚相手など、相談に来られる方と境界性パーソナリティ障害の人との関係性はさまざまですが、それぞれの関係の中で相手の不安定な言動に悩まされている方がカウンセリングを受けに来られます。

もし自分が悩んでいる人間関係が、最初は親しく接してくれていたのに、ある日からこちらを疑ったり、責めたりして不満をぶつけてくるようになったと悩んでいる方がおられたら、相手の方が境界性パーソナリティ障害かもしれません。

カウンセリングでは、どのように接することが望ましいかを詳しく話を聴いた上でアドバイスをさせて頂くので、身近な人が境界性パーソナリティ障害かもしれないという方もカウンセラーにご相談下さい。