罪悪感、自己嫌悪に悩まされる理由

最近カウンセリングをしていると、他人と接している中でいつの間にか自分を責めるようになってしまったと悩んでいる人の来談が増えているように思います。

これまでは、自分を責めるようなことがなかったのに、職場や上司が変わってから自分を責めて自己嫌悪になってしまうことが多くなるという経験をしたことはありませんか?

この記事は、職場の上司と部下の関係を例に挙げて書いていますが、学校の友人関係、習い事のメンバー、ママ友との関係など、幅広い人間関係に当てはまります。

他人に罪悪感を刷り込もうとする上司がいる

職場で上司と接しているうちに、いつの間にか1人になった時に自分を責める思考になることが多くなってしまうのには理由があります。

それは、人は無意識のうちに自分の要求を通すために、相手に罪悪感を与えようとしてしまうことがあるからです。
これは、特に職場の上司から部下、先輩から後輩といった上の立場の人から下の立場の人に対して要求を通そうとする時に見られる傾向です。
それも厄介なのが、多くの人は上記のことを無意識に悪気なくやってしまっているという点です。

罪悪感を与えるとコントロールしやすい

相手が申し訳ないという心理になると、自分の要求が通しやすいということを過去の経験から学んでいる人がいます。
そのため、部下や後輩などが自分の言い分に納得していない時、自分にあまり従ってくれない時に罪悪感を与えるものの言い方になり、その後要求を通そうとしてしまうことがあるのです。

そうするとコントロールすることが容易になるので、仕事であれば命令を利かせやすくなります。
このように他人に罪悪感を与えることが、相手に言うことを聞かせるための有効な手段であることを学んでしまうと、自分の知識が乏しく、指導力が低くても他人を動かせるようになってしまうので、それに依存してしまう人がいるのです。

他人コントロールされないためには

他人との関係の影響で、自分を責めてしまうようにならないため、コントロールされないようになるためには、自分で考える力を養うことが必要です。

人が自分の要求を通すために相手に罪悪感を与えようとする時には、物事を良いか悪いかという2つの判断基準で判定して、相手の思考や行動を悪いと指摘しています。

そのため、他人から何かを指摘された時は、それは組織のルールに反していたり、複数の人に迷惑を掛けたり、組織や自分の損失になるという点で悪いことなのか、それとも相手にとって都合が悪いだけで、自分の思考や行動を悪いと言われているのかを考え直すようにすると、相手の言葉によって過剰な罪悪感を持たなくてすみます。

職場の正当な目的を達成するため、自分の行動を改めるという意味での反省は必要ですが、上司の個人的なの都合に振り回されて、その都合に行動を合わせるために自分を否定していると心への負担が大きくなってしまうので、それを止めることが他人にコントロールされないために必要なことです。

カウンセリングは自分の心を守るための手段

いつの間にか自分のことを責めてしまうようになって心が疲れているという方は、日頃の人間関係を見直してみて、周囲からどんな影響を受けているかを考えてみて下さい。
それと並行して、自分の価値基準を育てていくと他人の影響で罪悪感を持つことは少なくなると思います。

私達が、良いか悪いかという二分的な思考に囚われやすいのは、それがあまり思考を働かせなくても答えられるから楽だという理由があります。
もう一つは、子供の頃から親が二分的な思考で物事を判断する人だったため、自分もその傾向を引き継いでしまっていて、上司から二分的な言い方をされると疑問も感じずに反応してしまうという理由もあると思います。

生活の中で、自分の都合を押し付けるために相手に罪悪感を押し付け、コントロールしようとする人と出会うことを完全に避けるのは難しいと思います。
そのため、世の中にはそういう人がいることを知り、そんな人の要求に付き合う必要がないことも知って、自分の心を守っていくことが大切です。

そのために有効な手段がカウンセリングです。
カウンセリングでは、自分が二分的な思考になりやすいということや相手の言動につられて二分的な思考になっていることなどに気づくことができます。
また、カウンセラーは、カウンセリングの中でクライエントと対話を繰り返しながら物事を長期的、多面的、根本的に見るという姿勢が身につくようにアプローチしていきます。

人に罪悪感を与えてコントロールしようとしている人は、安易な発想をしている人が多いので、長期的、多面的、根本的なものの見方が身につくと、相手がコントールすることが難しいと感じて距離をとってくれるようになります。

カウンセリングを受けることによって、相手に振り回されない考え方、心の持ち様を身につけて頂ければと思っております。