
「相手は今日のデート、楽しんでくれたかな?」
「次の約束をしてくれないのはもう飽きられたから?」
「LINEの返信が遅い。何か変なことを言っちゃったかな…」
恋愛をしている時、常に不安が付きまとい押しつぶされそうになる人は少なくありません。
相手の言動ひとつで愛されているかの実感が大きく左右される。
その不安の正体…
それはあなたが「勝手に無理をして、勝手に期待しているから」かもしれません。
不安は「無理をした」代償
なぜ、そこまで不安になるのでしょうか。
それはあなたが、その恋愛に「無理をした」からです。
想像してみてください。
近所のコンビニで買った100円のコーヒーが、もし一口飲んで美味しくなかったとしても、あなたはそこまで絶望しないはずです。「まあ、100円だしな」で終わるでしょう。
しかし、もしあなたが一杯1万円するコーヒーをわざわざ1時間かけて買いに行ったとしたらどうでしょうか?
「この一口は、私の1万円と1時間のコストを埋め合わせるほど感動的なものでなければならない」と無意識に期待するはずです。
そして、もしその味が普通もしくはそこそこの美味しさだったとしても残念な気持ちになるでしょう。
恋愛における不安もこれと同じ構造だと言えます。
あなたが相手に好かれるためにかけたコストの分だけ期待値が高まり、期待通りにならないかもと思うことが不安を生み出しているのです。
以下のようなコストをかければかけるほど不安は強くなっていきます。
時間のコスト
- デートのために土日はほとんど空けておく
- 突然誘われた場合でも無理やり時間を作る
金銭のコスト
- デートのために美容院に行き新しい服や新作コスメを買う
- 相手に気に入ってもらいたくて高級なレストランを予約する
労力のコスト
- 寝不足で疲れていたがパートナーの誘いや要望に合わせた
- 相手に楽しんでもらうために数日前からリサーチを重ねてデートプランを練る
これらはすべて「良かれと思って」やっていることかもしれません。
もちろん、自分が満足するためにしているという人もいるでしょう。
しかし、本当に自分が満足するためにしている人は、期待をし過ぎて不安になることはありません。
心のどこかに”自分のために”よりも”相手のために”があるから期待をしてしまうのです。
どのようにして期待が不安に変わっていくのか
もちろん無意識ではありますが「私はこんなに頑張った(相手を想った)んだから相手にも伝わるはずだ」とあなたが無理をしたことが見返りの期待へと変わってしまいます。
あなたが無意識のうちに無理をして100の力を注ぎ、相手が自然体で50の力しか返してくれなかったら、あなたの心には「マイナス50」の欠乏感が生まれる。
その欠乏感が「愛されているか不安…」「あんなにしたのに喜んでもらえなくてショック」と感じ、積もり積もっていくのです。
「オシャレしたのに、可愛いって言ってくれなかった」
「予定を空けていたのに、誘ってくれなかった」
「あんなにプランを考えたのに、反応が薄かったような気がする」
「あんなに高いお店に連れていったのに、連絡の返信が遅い」
こんな気持ちが積もり「あの人は自分のことを好きではないのだろうか」と感じてくる。
ここで重要なのは「相手はあなたに”無理をして”とは一言も頼んでいない」という点です。
自分の不安を埋めるために、あるいは自分に自信がないから、勝手にハードルを上げて無意識のうちに無理をしていたのです。
これは少し残酷な言い方をすれば、”自己犠牲の押し売り”になっています。
あなたが勝手に「無理をした」せいで、相手は知らないうちに「あなたの期待に応えなければならない」という無理を背負わされてしまうのです。
そんな関係が長く楽しく続くはずありませんよね。
「愛されるための努力」を半分に減らす
もしあなたが今、不安でたまらないのなら、やるべきことは「もっと愛されるための努力」ではありません。
むしろその逆、「今やっている無理を、半分に減らすこと」です。
- 着飾るよりも自分がリラックスできる服を選ぶ
- デートプランを相手に投げてみる(それで失敗しても笑い話にする)
- 土日のどちらかは、「相手のため」ではなく「自分のため」に使う
こうして「無理をした」コストを減らすことで無意識の期待やそれが満たされない不安を取り払っていきます。
「自分も適当に楽しんでいるし」と思えるようになれば、相手の反応が薄くても、返信が遅くても、自身の価値が揺らぐことはありません。
無理をしてしまう癖の背景を知ること
「無理をしてしまう」のは過去に身につけた愛されるための戦略である場合がほとんどです。
カウンセリングでは、以下のような観点から、掘り下げていきます。
「条件付きの愛」の学習
幼少期の「テストで良い点を取ったときだけ褒められた」「親の手伝いをしたときだけ居場所があった」といった経験から「何かを提供しない自分には価値がない」という価値観が刷り込まれます。
これが恋愛において「ちょっと無理をしたコストを支払わないと、愛されない」という考えを強めているのです。
愛情のギブアンドテイク
幼少期に親から「高い塾代を払ってるんだからもっといい点を取って」「せっかく毎朝時間をかけてお弁当を手作りしているのに」等と言われた経験はないでしょうか?
“あなたのために苦労してるんだから”と主張し、見返りやリアクションをコントロールしようとする関わりをされた場合、無意識的に愛情にはそれ相応の“お返し”が必要だと感じてしまいます。
そして、当然相手も自分が注いだ分は同じ熱量で“お返し”してくれるはずだと期待してしまうのです。
見捨てられ不安とコントロール欲求
自分に自信がないと相手がいつ離れていくか分からず不安になります。
そこで「完璧なデートプラン」や「尽くすこと」によって相手を満足させ、相手が離れていかない状況を自分でコントロールしようとします。
無理なコストをかけることは、不安を打ち消すための防衛策なのです。
自分の感情の麻痺/鈍麻
幼い頃から周囲の顔色を伺って立ち振る舞ってきた人は、自分の「疲れた」「やりたくない」という感情を無視する癖がついています。
その無視する癖がついていくにつれ、本来自分がどうしたいのかも見失ってしまいます。
「自分が無理をしている」という自覚自体が薄いため、限界を超えて投資し続け、ある日突然、思うほど愛されていない感覚や、相手が離れて行ってしまう不安に変わって爆発してしまいます。
カウンセリングで取り組むプロセス
カウンセリングでは、以下のステップで認知と行動を見つめ直していきます。
コストを可視化して「無理しない自分」を築き上げる
自分の無意識のコスト(時間・お金・労力)を自覚するためリストアップし、それが自分のキャパシティに対してどれほど「無理」をしているのか客観的に認識します。
無理をしていることに気付くことができれば、しんどいからやめようという気持ちになりやすい。
さらに具体化して意識的に減らすことを心がけていく中で無理をする度合いはどんどん下がっていきます。
無理をしなくても関係が続く、問題が起こらない、むしろ上手くいくという経験を積むことができれば無理をしない自分が定着します。
自分を大事にする感覚を取り戻す
無理をして尽くしてしまう人は、自分を大事にすると言われてもイメージしづらいかもしれません。
自分を大事にするとは、自分磨きや特別なご褒美を与えるなどの大それたことではなく、“自分の気持ちを受け入れること”です。
「誘いを断ったら嫌われるかも」という相手の気持ちを想像することよりも、「今日は一人でゆっくりしたい」とい自身の気持ちを受け入れる。
相手のための時間や労力を、自分がただ「好き」「落ち着く」と感じる時間(例えば、キャンドルの火が揺れるのを見つめる、スマホを別室に置きソファに横になる、など)に割いてみる。
これらのことを進めて行く中で、相手の反応を重視するエネルギーを、自分を満足させるエネルギーへと転換させていきます。
相手への無意識の期待は、自分が「無理をしたコスト」と同等の対価を相手に求める気持ちから来るものです。
今のあなたがすべきなのは、「相手のために」と思うコストを削り、「自分のために」「自分がしたいこと」にそのコストを使うことです。
自分自身が満たされた状態であれば、他人からの反応という不安定な報酬に一喜一憂する必要はなくなります。
「勝手に無理をする」ループを止め、自分の価値観を再構築する場としてカウンセリングを活用してください。













