痴漢は逮捕されても繰り返してしまう心の病

世の中には、犯罪だとわかっていても自分の意思の力だけでは痴漢を止めることができない人がいます。
逮捕される可能性があっても痴漢を続けている人、一度逮捕された後も痴漢が止められない人、刑務所から出てきた後も痴漢をしてしまう人がいるのですが、このような事実だけでも痴漢という問題の根深さが感じられると思います。

当オフィスでは、痴漢を止め続けるためのカウンセリングを提供しているので痴漢の加害者から話を聴くことがあるのですが、初回のカウンセリングの段階では『警察に逮捕されたので二度と痴漢はしない』、『複数回逮捕されているので今度こそ止める』と考えている人が多いと感じています。
逮捕されたことで痴漢は懲りたから止めることができるという安易な発想は再犯につながる可能性が高く、それは世の中で痴漢の再犯が多いことでも証明されています。

カウンセリングでは、痴漢を止めるではなく、痴漢を止め続けるという認識を持って頂くようにお伝えしているのですが、そのような考え方になっていくことで自分の心のコントロールができるようになります。
再犯が多い問題だからこそ、カウンセラーはカウンセリングを通じて痴漢に関する間違った認識を改めて頂き、それと同時に痴漢をしないためのに必要な取り組みを行って頂くようにしています。

痴漢を止めることができないというのは、それが依存症という心の病だからです。
止めるためには正しい知識を持ち、正しい取り組みを継続することが必要なのです。

痴漢という性犯罪の特徴

性犯罪の中でも痴漢は再犯が多いと言われています。
逮捕者全体の中で前科がある人の割合が多く、盗撮は痴漢よりも前科者の割合が多かったという統計も出ているほどです。

痴漢は盗撮よりも発生件数が多い

大阪府警が発表している令和元年の性犯罪の検挙数を確認すると、盗撮よりも痴漢で検挙されたの件数の方が多いという結果が出ています。
再犯者の割合だけでなく、そもそもの犯罪者の数も多い可能性があるのです。
年によって割合は変わりますが、痴漢の検挙数が多いという傾向は続いています。

令和2年中の性犯罪発生状況(大阪府警)

盗撮は、主に駅、ショッピングモールのエスカレーターや本屋、雑貨屋などの店舗内で行われることが多いようですが、痴漢は電車の中、特に通勤、通学の時間帯に発生することが大阪府警のサイトを見るとわかります。
また痴漢は、路上で自転車や走って通り過ぎる際に女性を触るという形でも行われているようですが、人混みや暗闇に紛れて自分が行ったと特定されにくいという思い込みが件数を多くしているのかもしれません。

痴漢の被害者は10代、20代が多い

大阪府警のデータでは強制わいせつ罪の被害者は、10代が一番多く、次に20代の女性が多いという結果が出ています。
被害者の大半が学生のようですが、その中でも小学生が被害に合っている件数が一番多いのです。

小学生であれば、抵抗しない、声を上げない、親や先生に言わないという安易で卑怯な思い込みがあるように感じます。
実際にカウンセリングで性犯罪をした人の話を聴いていても、このような考えを持っていると感じられる発言は多いです。

痴漢をしている人の間違った思い込み

痴漢をしている人の心理的特徴として顕著なのがこのような思い込みです。
『女性は触られても嫌がっていないのではないか』
このような認知の歪みが痴漢をしている人の心理的特徴の一つです。

痴漢を続けている人が最初に痴漢をする時は、電車の中で密着状態になった時に衝動的に女性を触っています。
そして、その最初の痴漢行為の際に女性が触られることを不快に感じながらも、声を上げる勇気が持てなくて我慢しているのを、『何も言わないということは触られることを嫌がっていないのではないか』という間違った解釈をしてしまい何度も痴漢を繰り返すようになってしまいます。

痴漢を繰り返す人が持っている否認の心理

盗撮をする人の心理でも説明したように、性犯罪者は、否認の心理が強いという特徴があります。
この否認の心理が性犯罪が悪いことだとわかっていても止められない要因の1つになっています。

下記が痴漢をしている人の持っている否認の心理です。

  • 痴漢をしても声を上げない女性は嫌がっていない
  • 嫌がっていなければ傷ついてもいないはず
  • 満員電車の中ならだれに触られているかわからない
  • 痴漢は止めようと思えば、いつでも止められる
  • 体が密着する状況なら触りたくなっても仕方がない

痴漢をすることを正当化するために上記のような否認の心理が働いています。
まともな人であれば信じられないような考え方ですが、自分の行為を正当化するためには自分本位で、非現実的な考え方になっているようです。

否認の心理が再犯を生んだ実例

お酒を飲み過ぎた時に再犯をした

カウンセリングを受けるようになってお酒の量を控えたり、禁酒する人がいます。
それは、お酒を飲む量が多いと脳の働きが低下するので、帰宅途中に再犯をする確率が上がってしまうからです。

実際にお酒を飲んだ時に再犯をした人はいます。
数年間再犯はしていないけど、お酒を飲む量が増えてきていたので、それを妻から注意されていたのに、「お酒くらいは飲まして欲しい」とお酒が再犯の可能性を高めることを知っていたにも関わらず、その危険性を否認した行動をとっていたため、お酒を飲み過ぎた日に再犯をしてしまったのです。

これは、否認の心理が再犯を生んだ実例です。
もう一つの実例も紹介します。

勝手にカウンセリングを中断して再犯をした

性犯罪加害者のカウンセリングは、まず3年ほどはしっかりと通って頂く必要があり、3年経ったくらいで状態が良ければカウンセリングを受ける間隔をあけてもらいつつ、カウンセリングの卒業を目指します。
しかし、中には自己判断で勝手にカウンセリングを中断してしまう人がいるのです。

実はその割合は、盗撮よりも痴漢をした人の方が多く、さらに露出をした人、強姦をした人の順に多くなります。

実際に痴漢をしてカウンセリングに通っていた人が、一度用事があってカウンセリングをキャンセルしてから予約を取らずに生活していて、カウンセリングを中断してから半年〜1年の間に再犯をしていたということがありました。

痴漢をした自分には正常ではない部分があること、自分には否認の心理がまだ残っているので再犯の危険性があることを認めずにカウンセリングを中断してしまうことは、再犯のリスクを高めてしまうのです。

痴漢によって得られる興奮が再犯をしたい心理を生む

痴漢をする人は、再犯をする人も多く、その行為が再犯をするたびに大胆になっていくという傾向があります。

最初は満員電車の中で、女性に振れた手をそのままの位置から動かさないという行為から、しっかりと触れるようになっていき、中には露出を始める人がいたり、人が少ない電車で寝ている人を触ろうとしたりします。

再犯を繰り返す中で、否認の心理もどんどん強化されていき、現実を否認して大胆な行為を行います。
自分の中でここまでやっても気づかれないという論理を無理やり構築しているようです。

痴漢は、盗撮に比べると女性に触れる分、興奮度合いも大きいため依存性が高まりやすいのではないかと感じています。
そのため、逮捕されたり、刑務所に行くことになって出所して来てからも再犯をしてしまうのではないかと思うのです。

実際に刑務所に入る前は、出所したらカウンセリングに行こうと考えていたけど、出所したら自分はもう大丈夫だという気持ちになって日常を
送っていたら、衝動を抑えられないようになり再犯をしたという話を聴くこともあります。

痴漢を止め続けるという決意が必要

性犯罪の中で、盗撮よりも痴漢をする人の方が多いというデータはありますが、AXIAに性犯罪を繰り返さないためにカウンセリングを受けに来ている人の数は、盗撮をした人の方が多いのです。
これは、弊社に来られている相談者の傾向から言えることですが、痴漢の方が盗撮よりも犯罪件数は多いが、止めるためにカウンセリングを受ける人は少ないという結果とも言えます。
対比すると7:3くらいの違いがあります。

また、改善するためにカウンセリングを継続する人の数も盗撮をした人の方が多いのです。
痴漢をしてカウンセリングを受けるという方は、絶対に止めるという強い意思と同時に真剣に取り組まないと止められないという危機感を持って相談に来て頂きたいと思っております。

痴漢をする人の方が否認の心理が強い

カウンセリングをしていると盗撮をした人よりも痴漢をした人の方が否認の心理が強いと感じられます。

否認の心理とは、依存症の人が持っている特徴で、自分が依存症であること、改善のための取り組みが必要なこと、再発の可能性があること、自分の意思の力だけでは改善ができないということなどを認めないという心理です。
そのため、依存症の人はカウンセリングに来ても自分の問題と向き合おうとしない、2回目は来ない、多少継続をしても改善が進む前に自己判断でカウンセリングを中断するということが多いのです。

その傾向も盗撮をした人よりも痴漢をした人の方が強いと言えます。
数回カウンセリングに来ただけで、自分はもう大丈夫だと決めつけて通わなくなり、数か月、数年経ってから再犯をしてしまう人もいます。

カウンセリングで否認の心理の克服を

性犯罪を止めるためには、カウンセリングを受けて自分の中の否認の心理を弱くしていく必要があります。

カウンセリングを継続しないことも否認の心理が影響しているので、まずは自分の中の否認の心理に負けないということを目的にカウンセリングを継続して頂ければと思います。
その上で、本当にカウンセリングの必要性を理解して、2度と痴漢をしないためにカウンセリングを活用して下さい。

盗撮をした人がたくさん通ってこられている中で、痴漢をした人の来談数の数を考えると、まだまだ再犯の可能性を放置したままの人も多いという可能性が高いという恐れがあります。

痴漢をして逮捕された人、痴漢を続けているけど止めなければならないと感じている方も相談に来て下さい。
自分は逮捕されたからもう痴漢はしないという思い、いつかは止めることができるという考えでは痴漢は止められません。

痴漢を止め続けるためのカウンセラーのサポート

性犯罪を止めるためには、性犯罪加害者のカウンセリングを行ってきた実績のあるカウンセラーに相談することが望ましいと言えます。
実績のあるカウンセラーは、多くの性犯罪加害者のサポートを行ってきているからこそ、どのような人が再犯をせずに性犯罪を止め続けているのか、再犯をしてしまう人はどのような特徴を持っているのかを分かっていて、止め続けることができる方向に導くカウンセリングを提供することができます。

性犯罪と言っても痴漢、盗撮、露出、強姦など、犯罪の内容によっても加害者の特徴には違いがあり、カウンセリングではその違いを考慮したアプローチを行っていきます。
さらに痴漢をしてきた人の中にも、痴漢だけを続けてきた人もいれば、痴漢と盗撮の両方をしてきた人、痴漢と露出をしてきた人などもいるので、その個人差を考慮しながら性犯罪を止めることができるようにカウンセリングを進めていきます。

性犯罪は再犯が多いという事実が、自分の意思だけでは止め続けることが難しいことを証明しています。
この事実を受け入れることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、これを受け入れるところから再犯の抑止は始まっています。

カウンセリングは、性犯罪への正しい認識の維持と止め続けるという意思を継続させるためにも必要な取り組みです。

性犯罪を止め続けることは、自分の人生を立て直していくための絶対条件です。
AXIAのカウンセラーは、性犯罪を止めたいという気持ちを持っている方の人生の再構築を支えて行きたいと思っているので、痴漢をしてしまってこのページを見ているなら、カウンセリングにお越し下さい。