笑顔恐怖症とは?
挨拶や楽しく会話をしているとき、自然な笑顔になれずひきつった感じになってしまう。
ひきつった違和感のある笑顔が相手に不快な思いをさせ、変に思われたんじゃないか、嫌われるんじゃないかと不安になる。
そして、またひきつったらどうしようと考えて苦しむのが笑顔恐怖症です。
鏡に向かって笑顔の練習をしたり、表情筋を鍛えるトレーニングをしたりする人もいますが、ほとんど効果はありません。
なぜなら笑顔恐怖症は笑顔を意識しすぎることで発症しているからです。
泣きべそをかいているような顔
笑顔がひきつっているときの表情について、笑顔恐怖症の人はたいてい「泣きべそをかいているような顔」と表現します。
みんなが普通に笑っているときに一人だけ泣きそうな顔になっている感覚があるのです。
泣きそうな顔になるのはおかしいと思うから誤魔化そうとする。
常に自分の表情に意識を向け続ける状態になり、相手の話が入ってこなくなってしまう。
相手の話が入ってこないから笑えず、笑えないから無理やり笑顔を作って泣きそうな顔になっています。
加害者意識、罪悪感が強い
自分のひきつった笑顔が相手に不快な思いをさせている。せっかくの楽しい空気を自分の表情が台無しにしてしまう。
笑顔恐怖症の人は自分が他人に迷惑をかけているとしか思えず、その罪悪感に苛まれています。
他者への加害性を強く感じるのは嫌われることへの恐れがあるからです。
ひきつった笑顔によって嫌われているのであれば、自分のことを知られたり、コミュニケーションが上手く取れなかったりすることで嫌われる可能性をなくすことができます。
笑顔恐怖症は自分の本当の問題から目を背ける役割を果たしているところがあるのです。
人と話すときに笑顔がひきつる3つの原因
人と話す時にひきつった笑顔になってしまうには原因があります。
その原因は、主に以下の3つのものが該当することが多いので、自分は笑顔恐怖症かも知れないと思っている方は、自分に当てはまるものはないか確認してみて下さい。
他人の評価を気にしすぎている
笑顔恐怖症の人は相手にどう見られるかを過度に意識しています。
症状が「顔」という注目されやすい部位に出ていることにも表れていますよね。
目立ちたがりの性質を持っている人が多く、みんなに好かたい、いい人に見られたい思いが非常に強い。
だから、常に無理をしていてネガティブな感情があっても表に出さないわけです。
笑顔がひきつるのも当然だと言えます。
自分の感情にものすごく鈍感
笑顔恐怖症のカウンセリングを数多くおこなってきましたが、全員に共通していたのが感情の鈍感さです。
笑顔になれるかどうかを気にするあまり、自分の感情が置き去りになっています。
本来、人が笑顔になるのは嬉しい、楽しいといったポジティブな感情を感じてリラックスしているときです。
ネガティブな感情がいっぱいで緊張しているとき笑顔にはなりませんよね。
笑顔になるために大切な感情が切り離されていて自然な笑顔が出てこないわけです。
自分の好き嫌いすらわからず、どうしていいかわからない状態になっている人も少なくありません。
相手次第のコミュニケーション
笑顔恐怖症で悩んでいる人は極端に受け身です。
相手が話しかけてくれたら話せる。でも、自分から話しかけるのは絶対に無理だと言われます。
主体的に関係を築いていくことができないから、相手に頼ったコミュニケーションになってしまう。
相手次第で関係が形成されるとなれば、相手が自分のことをどう思うかが重要になりますよね。
だから、笑顔を作って自分の印象を良くしようと必死になるのです。
笑顔恐怖症改善に向けたカウンセリングでの取り組み
笑顔を作る機会を減らす
笑顔恐怖症で悩んでいる人は意識的に笑顔を作っています。
みんなが笑顔になる場面で笑えないから作るのですが、作ることによって自然に笑顔になることが妨げられているわけです。
カウンセリングでは笑顔以外に大切な要素に目が向けられる状態を作り、少しずつ笑顔を作るのをやめていきます。
最初は笑顔を作らないことへの不安が強く出てきますが、笑顔を作らなくても問題が起こらないこと、自然と笑顔になれる機会が出てくることで大丈夫になっていきます。
認知の歪みを修正する
笑顔恐怖症の人は、人とのかかわりにおいてニコニコと感じ良くしていないといけないと思っています。
あまり愛想が良くない人も当然いるのですが、愛想の良い人ばかり見て同じようにしなければとプレッシャーを感じる。
無理やり笑顔にしようとすることで顔がひきつってしまうのです。
笑顔で愛想の良い人が好かれやすい。
かといって、それがすべてだとは言えない。
不愛想であったとしても、他に補える要素があれば相手を不快にさせたり、嫌われたりすることはありません。
カウンセリングでは表情へのとらわれを強化している認知に働きかけ、「笑顔でなくてもいい」と思える状態を目指します。
ネガティブな感情を表現できるようにする
笑顔がひきつるのはネガティブな感情を抱えている証拠でもあります。
楽しい、嬉しいが強い状態であれば自然と笑顔が出てきますが、逆に怒りや苦しみを抱えている状態ではなかなか笑顔になれませんよね。
笑顔恐怖症の人は親子関係等の影響で感情を抑圧する習慣を身に着けているため、カウンセリングを受けながら少しずつ自覚できる状態にしていきます。
日々の出来事だけでなく、過去の経験における感情の動きにも焦点を当て、言葉にしていく働きかけを繰り返すことで表現できるようになるのです。
アイデンティティの確立
笑顔恐怖症で悩んでいる人は自分が普通であるかどうか、他人に嫌われないかどうか
を極端に気にしています。
笑顔になることで嫌われる危険性から自分を守っているわけです。
カウンセリングでは他人から嫌われるかどうか、他人の評価ばかり気にする状態から抜け出すため、自分がどうしたいかを見つけ出すアプローチをしていきます。
他人にどう思われるかではなく、自分がどうしたいかで動けるようになればなるほど、笑顔がひきつるかどうかを考えなくなっていく。
気づいた頃には笑顔がひきつることを考えない状態になっているのです。
笑顔がひきつる笑顔恐怖症でお悩みでしたらカウンセリングを受けてみてください。