自己臭恐怖症を発症させる4つの心理的要因

自己臭恐怖症は何かしら自分のニオイが気になる出来事をキッカケに発症します。
面と向かって「臭い」と言われるケースもあれば、誰かが自分のことを「臭い」と言っているように聞こえるケースもあれば…
周りの咳や鼻すすり等の態度だけで自分が臭いと思い込み、自己臭恐怖症を発症するケースもあります。

誰だって「臭い」と言われたらショックを受けますが、かといって言われた人全員が自己臭恐怖症になるわけではありません。
自己臭恐怖症を発症する人には共通の要素があったのです。

この記事は、西橋康介が書いています。

生まれ持った性質

自己臭恐怖症になる人は神経質で繊細な傾向が見られます。
そもそも小さなことを気にしない性格の人であれば、臭いと言われたところで大してダメージを受けませんよね。
極端な話、指摘されてもニオイの対策をしない人もいるでしょう。

不安になりやすい傾向が強い、真面目でやさしい、なかなか自分に自信が持てない、周りの環境や他人の言葉に影響を受けやすい等。
何かしら自己臭恐怖症になりやすい性質を持っているのです。
発達障害の感覚過敏やこだわりの強さが影響している可能性もあります。

親子関係で形成された我慢の習慣

自己臭恐怖症で悩む人は親が過干渉、過保護、高圧的、規範意識が強い等、子供に我慢を強いる一方通行の接し方になっているケースが多く見られます。
最初の人間関係である親子関係で我慢せざるをえなかったため、他人とのかかわりにおいても我慢をし続けて習慣化。
本当は我慢させられてきたことへの不満や怒り、屈辱感が心の底に渦巻いているのですが、誰にもぶつけることができないから抑え込む。
常に自分を抑えて、他人に迷惑をかけないように、相手の期待に応えられるように生きてきたわけです。

本当はしんどいはずなのに、我慢をし続けてきたことで麻痺していて、胃潰瘍など、身体に問題が出てやっと気付くか、それでも気付けないかのレベルになっています。
気付かないうちに限界を超えてしまうことで抑圧してきた感情が漏れ出し、ニオイを放っているような感覚にさせるのです。

自己肯定感の低さ

自己臭恐怖症を発症する原因として自己肯定感の低さもあります。
自分は良いところがなくダメなところばかりだと思っている。
だから、嫌われないように気を遣いながら人とかかわってきたのに「臭い」と言われてしまった。

ダメなところばかりの自分に人に迷惑をかけてしまうニオイの問題が追加されてしまったわけです。
何とかして臭いところだけはなくさないといけないと必死になりますよね。
自己肯定感が低いがため、ニオイの問題が出てきたときに耐えがたい状態になってしまうのです。

人間臭さの排除

自己臭恐怖症になる人は本来あるはずの「人間臭さ」がまるで自分にはないかのように振る舞っています。

  • 気が弱くてすぐ逃げ出そうとする
  • 面倒くさいことはやらず楽しようとする
  • 我慢できず途中で投げ出してしまう
  • 嫌いな人の悪口を言う

こういう世間一般から見てダメなところを持っているから人間臭く、その人らしさを感じられるわけです。
しかし、自己臭恐怖症の人は聖人君子のような潔白を求め、少しでもダメなところがあれば排除しています。
だから、臭い自分にも過剰反応をしてしまい、どうしてもニオイをなくさずにいられない状態になってしまうのです。

自己臭恐怖症の本質に目を向けたカウンセリング

自己臭恐怖症で悩んでいる人は自分のニオイが問題だと思っています。
だから、ニオイを何とかしようと病院を転々としたり、手術を受けたりするのですが、本当の問題は別のところにあるから改善しないまま。
自己臭恐怖症を克服するためには、ニオイが気になって仕方がない状態を生み出す要素に目を向け、根本的な問題を解消することが必要なのです。

カウンセリングを受けていただくと表面的なニオイの話から、少しずつ症状を生み出している要素に目が向けられるようになっていきます。
抑え続けてきた感情が動き出すと不安や怒りを感じやすくなってしんどくなりますが、カウンセラーに支えてもらうことによって乗り越えていくことができます。

自分自身への理解が深まり、自分の感情を自由に感じられるようになり、人間臭さを受け入れられるようになったとき、自己臭恐怖症は克服へと向かうのです。
あまりのつらさで一気に治したいと思う人は多いですが、カウンセリングでは症状によって守られている部分も考慮してバランスを取りながら進めていきます。