プロのカウンセラーとは

時々、駆け出しのカウンセラーやカウンセラーを目指している人から、「どうしたらカウンセリングを仕事として続けていくことができますか?」という質問をされるのですが、この「どうしたら」の意味は質問をしてくる人によって違いがあります。

どういう方法でどれくらい努力すればいいのか?、という意味での「どうしたら」という質問をしてくる人もいれば、どのようにすれば楽に成果が出るのかという「どうしたら」という意味で質問してくる人がいます。

プロのカウンセラーというのは、カウンセリングを生業として生計を立てることができているという状態だと思いますが、方法だけを知ればそれが可能だと思って質問してくる人になれるほど簡単な職業ではないと思っています。

プロカウンセラーであり続けるための近道はない

カウンセリングという仕事は、明確な形のあるものを提供しているわけではないので、提供するサービスを利用してもらうということは決して簡単ではありません。
そして、社会で活躍されている開業カウンセラーは、かなりの努力をして相談の依頼を増やし、カウンセリングを一つの事業として確立させています。

いつ開業したかでどんな努力がどれくらい必要かは多少違いますが、楽して成功する方法がないのは確かです。
カウンセラーと名乗って、一度や二度誰かの相談を受けてお金を受け取ることは可能かもしれませんが、プロのカウンセラーとして仕事をし続けることは簡単ではないので、プロの基準の1つはプロカウンセラーとして相談を受け続けることが出来ているという点だと思います。

求められ続けてこそプロカウンセラーだと言える

私はスタッフに指導をする時にプロスポーツに例えて努力の必要性を伝えます。

例えば、世の中に野球をしている高校生はたくさんいて、その中で甲子園に出場できる人は限られている。
甲子園に出るだけでもかなりの努力が必要だけど、その中でドラフトで指名を受けてプロになるのは一握りの人間。
たくさん努力をしたからと言ってプロ野球選手になれるわけではないけど、プロ野球選手になった人たちは、誰もがかなりの努力をしているはず。

カウンセラーもスポーツ選手と一緒で、自分の腕を頼りに仕事をしていく職業なので努力によって培った知識や技術がないとプロであり続けることはできない。
だから、一生努力を続ける必要があり、その中の数年間はかなりの時間をカウンセラーとしての成長に時間をさく意思と実行力がないと、プロとして残っていけない。
というような話をしています。

野球選手に比べてプロを目指す人の数は少ないですが、プロとして仕事を継続していくためにはプロになれる倍率がどうであろうと、一定量の努力ができなければ世の中がプロとして認めてくれないでしょう。
プロカウンセラーであり続けることは、心の悩みや人生の課題を解決したい人達から求められ続けるだけの実力と信頼性が必要なのです。

プロカウンセラーとして仕事ができなくなる人

プロのカウンセラーとして仕事を続けることができなくなってしまう人は、一度はカウンセリングを行っても、クライエントが『悩みを解決できた』、
『解決の糸口がつかめた』と思ってくれないこと、『二度とこの人に相談をしないでおこう』、『相談をしたことで悩みが増えた』と思われている可能性があります。

例えば、1回だけカウンセリングを受けた人が、その何か月、何年か後に相談にきて、「一度相談した時にカウンセリングを受けてよかったと思えたので、また相談に来ました。」と言って頂けることがありますが、良いカウンセリングが出来てれば来談回数は少なくても、クライエントにまた相談したいという印象を与えることができているのです。


この事例のような印象を感じてもらえなければクライエントは離れていくので、カウンセラーと名乗ってもカウンセリングという仕事をしてない状態になってしまいます。
このような場合は、自分がいくら望んでもプロのカウンセラーとして働き続けることは難しいと思います。


プロのカウンセラーであり続ける方法

最後に、私の経験に基づいて、プロのカウンセラーであり続けるためには、何をすべきかをお伝えしたいと思います。

勉強を続けること

まずは勉強をし続けることです。
本来なら、相談の依頼があればクライエントの話を聴いて何を勉強しなければならないかということも分かってきますが、最初から相談依頼が順調に入るとは限りません。

相談依頼が無い状態だからこそ、有り余っている時間を勉強に費やし、どんな相談依頼が入っても大丈夫なように準備しておくことが必要です。

情報発信を続けること

勉強をしていると知識が身につき、知識を交えて思考も働くようになります。
そうなると知識に基づいて自分の考えていること、クライエントに有益な知識などを発信し続けて下さい。

情報発信を続けていると、自分というカウンセラーが世の中にいるということを知って頂ける機会が増えるので相談依頼も入る可能性が高まります。
また、知識をアウトプットして、何が世の中に響くのかを試すことで実際のカウンセリングの場面でもクライエントに何をどのように伝えると良いのかということを察知する訓練にもなります。

誠実なカウンセリングを続けること

プロカウンセラーである以上、クライエントが求めているものに応えることが出来なければなりません。
しかし、結果を出すことを意識しすぎると、返ってクライエントに不満が残るカウンセリングになってしまいます。

クライエントが満足できるカウンセリングができるかどうかは、ある程度の経験を積んでから考えればいいでしょう。
まずは、ただ誠実にカウンセリングをして下さい。

経験が浅いうちは、クライエントが十分な満足を感じることができなかったとしても、誠実であることが伝わってどうせ話すならこの人に話を聴いてもらおうと思って頂くことが必要です。

そう思って頂くことによってカウンセラーとして臨床経験を重ねることができて、カウンセラーとしての実力も向上していくのです。

カウンセラーとして活動を始めようと考えている人は、まずこの3つのことを継続できるようになって下さい。
それがプロカウンセラーとして活動し続けるための近道です。