話を聴く力を支えるのは技術と知識

カウンセリングを支えているものの1つが、カウンセラー自身の傾聴力です。
この記事では、傾聴力とは何かということについて私自身のカウンセラーとしての経験をもとに説明したいと思います。

目と耳と心で話を聴く傾聴という専門技術

カウンセリングは、悩みを解決するために話を聴いてもらうというイメージが強いと思いますが、心理カウンセラーの話の聴き方を傾聴と言います。
傾聴とは、相手に共感する気持ちを持って話を聴くという心構えでもありますが、クライエントの悩みの解決のサポートという目的を実行していくための専門技術でもあります。

聴くという字を分解すると、耳、+、目、心に分けることができます。
これは通常話を聞く時に使用する耳だけでなく、目と心も相手に傾けて話を聴くということを表しています。
漢字というものは本当によくできているなと思います。

カウンセリングでは、クライエントの言葉を聞きながら、クライエントの状態やしぐさを観察して、言葉の背景にある心理を想像する必要があるのです。
耳と目と心を傾けて話を聴くことで得られる情報は多く、その情報がクライエントの支援に役立つということをしっかりとした支援ができるカウンセラーであれば体験しているでしょう。

悩みをカウンセラーに相談した方が良い理由は、カウンセラーの話の聴き方は専門技術であり、簡単にまねができるものではないからです。
ただ、カウンセラーによっても傾聴能力に差があるので、どのカウンセラーに相談するのかという点は重要です。
目安としては、人気のある心理カウンセラーは傾聴能力が高い可能性があります。

傾聴が悩みの解決につながる理由

しっかりと傾聴ができれば、クライエントが抱えている悩みの本質や解決のために必要な要素が見えていきます。
誰もが自分がどんなことで悩んでいるかを自覚していても、悩みが生まれている原因や要素、解決のために必要な要素には気づくことは難しいのです。
カウンセラーは、人の悩みを解決するための多くの知識と悩みの解決をサポートしてきた経験をもとに話を聴くので、傾聴によって悩みを解決する道筋が見えてきます。
そういう意味で傾聴とは、カウンセラーの知識や経験が豊富になるほど向上する専門秘術であると言えます。

カウンセリングに必要な専門知識

心理カウンセラーが悩みの解決につながる話の聴き方ができる理由は、知識を持って話を聴いているからです。
カウンセリングをする上で必要な知識は、心理学、精神医学、薬学、性格学などです。
上記は最低限必要な知識です。

心理学の知識

人の心という形のないものへのアプローチをするため、心の働きについての知識が必要です。
心理学の勉強が不足していると、自分は人の心のことをよく理解していると勘違いして安易なアドバイスをしたり、相手の話をしっかりと聴くことができないということが起こります。

精神医学の知識

カウンセラーは、必ずストレスによって心理状態、体調、行動に問題が表れている人の話を聴くことがあります。
心の悩みの相談を受ける以上は、人間関係や仕事の悩みということでクライエントからの相談依頼が入っても、その人はストレスによる異常が表れていることがあるので、ストレスが心身や行動に与える影響について医学的に理解しておく必要があります。
また、カウンセリングだけでなく、病院に行って適切な薬を処方してもらう必要のある人からも相談を受けることがあるので、そのことを説明して病院に行くことを促さなければなりません。
カウンセラーの中には、「自分は心の病の相談は受けないから知識は必要ない」と平気で言っている人もいますが、それはとても無責任であり、勉強不足なので、カウンセラーを選ぶ際はどのような相談をする場合でも精神医学の知識を持っている心理カウンセラーを選んで下さい。

薬学の知識

薬の知識も、病院に通っている人からの相談、病院に行くことを促す必要のある人からの相談があるため必要です。
薬の知識がないと、クライエントが良くなるために何が必要なのかを判断することができないので、カウンセラーは薬についても学んでおく必要があります。

性格学の知識

性格とは、人間が生きるための防衛戦略ですが、心の悩みはこの防衛戦略が過剰に働いていることから生まれていることも多いのです。
そのため、人間の性格について知識を持っていなければ、悩みを解決するのためにクライエントをどの方向に導けば良いかわからなくなってしまいます。

その他専門の知識

他にカウンセラーに必要な知識は、どんな相談に取り組んでいるかによって違ってきます。
対応する相談内容によってそれに対する専門性の高い知識が必要になるので、知識を学び続ける必要があるのがカウンセラーという仕事です。

カウンセラーの傾聴力を身につける

心理カウンセラーはただ話を聴いているのではなく、専門的な技術や知識を持って話を聴くから悩みの解決をサポートできるのです。

相手の話の内容に照らし併せる知識があることで、話の内容を奥深く理解することができます。
また、どのようなアプローチをすることが望ましいのかも知識があることによって検討することが可能となります。
また、傾聴という言葉は、『目と耳と心を傾ける』という意味合いがあります。
プロのカウンセラーは、知識を持った上で目と耳と心を傾けて話を聴くのです。

この記事を読んで頂いている方の中には、仕事や日常生活の中で傾聴を取り入れたいと思って傾聴に興味を持っているという方もおられるのではないかと思います。
もし、日常生活使える傾聴力を身につけたいとお考えの方は、『目と耳と心を傾ける』ということを意識して頂ければいいと思います。

プロのカウンセラーの場合は、相手の話に目と耳と心を傾けた上で知識を持って話を聴くということが重要になりますが、カウンセラー以外の方の場合はまず目と耳と心を傾けて話を聴くことを意識して、そうした時の相手の反応を見てあげて下さい。
相手の様子から、自分が上手く話を聴けているかどうか見えてくると思います。