
同意があったと思っていたのに後から訴えられた
当社には、「同意があったと思っていた」のに不同意わいせつ罪、不同意性交罪で訴えられたという人からの相談があります。
このような相談に来られるケースは、同意があったということについて人それぞれ受け止め方に違いがあります。
自分は同意があったと思っていたが、女性に不快な思いをさせたり、傷つけたりしたのかもしれない」と反省している人や「同意はあったと思うが自分に何か問題点があったのだと思う」という考えを持っている人もおられます。
「同意はあったと思うが自分に何か問題点があったのだと思う」という発想の人がいる中で、「同意があったのに訴えられるのは納得がいかない」という人、「相手はお金目当てで同意がなかったと言っている」ととらえている人もいます。
このように「同意」についてさまざまな捉え方をしている人がおられますが、カウンセリングは同じようなことを繰り返さないことを目的に話を進めていくので、相手の女性の発言ではなく、このような経緯になっている男性の思考と男性の言動から女性がどのような思いになっていた可能性があるかについて考えていただくようにしています。
カウンセリングの目的は再発防止
同意があったと思っていたのに不同意わいせつ、不同意性交などをしたと訴えられている人の中には、反省をしている人もいれば、訴えられたことに納得がいかないと思っている人もおられますが、カウンセリングでは結果としてこのような状態になっていること、女性との向き合い方などに視点を向けて同じようなことを起こさないことが目的となります。このようなケースの相談では、交際をしてたり、夫婦関係ではない相手と生じている問題であることが多く、そのような相手との性的関係を持つことが女性からの訴えにつながるという気づきを得ていただくことも問題の再発防止につながっていきます。
同意を得たつもりが犯罪になる理由
性犯罪の加害者が「相手との同意があった」と訴えているのに、被害者からは「同意がなかった」と証言され性犯罪になってしまう背景にはさまざまなケースがあります。
ただ、どのケースだったとしても安易な考え、自分勝手な考え、現実の否認などが性犯罪という結果を招いているという点では共通しているので、同じ過ちを繰り返さないためには自分の問題点を認めて認知、思考、行動などの改善に取り組んでいく必要があります。
下記は、「同意がなかった」という被害者の証言が生まれるいくつかのケースを紹介しています。
女性が不安感や恐怖心によって明確な意思表示ができなかった
男性から性的関係を迫られた時、状況や相手の立場、相手との関係性、身体的な差異などの要因によって抵抗することが難しく感じたり、拒否することで別の問題が生じると不安になったり、相手からの身体的な攻撃に合うのではないかという恐怖心などが生じて、しっかりと相手を拒否する意思表示ができなかったというケースがあります。
このケースの場合は、男性が明確な意思表示がないことに対して都合の良い解釈をして「同意があった」という認識していることがあります。
人間の体は、強い不安や恐怖の中で抵抗することが難しいと感じると“凍り付き反応”というものを起こして、体が硬直して明確な意思表示も抵抗もできなくなってしまうことがありますが、これを性犯罪加害者が「抵抗がないということは同意していた」と勝手な解釈をして犯罪を起こしていることがあるのです。
同意があったと認識していたが女性は「同意はなかった」と証言している
男性は、確かにはっきりとした言葉によって同意が得られたと言っているが、女性からは同意はなく被害にあったと訴えられるケースがあります。
このようなことが起きるのは、元々は女性も男性に好意を持っていたが、男性からは性的な行為を求められるが「好きだ」とか「付き合おう」というような意思表示はなく、お互いが交際相手であるという認識を共有している関係になることなく、性的関係だけを持ってしまったためであるというケースが多いです。
女性が男性に対して好意がある場合、男性からの要求に対して「断って嫌われたくない」という思いが働いたり、「男性の要望を受け入れたら関係が進展するのではないか」と期待してしまうことで同意をしてしまうということがあります。
しかし、性的関係を持った相手からの態度が女性を尊重しているとは言えないものだった場合、女性には「本当は望んでいなかったのに関係をもってしまった」という後悔が生じて、事実を否認したい思いから「同意はなかった」と言ってしまうことがあります。
このようなケースは、男性にも言い分はあるかもしれませんが、女性からの訴えがあった場合に同意があったことを証明することは難しく、結果として犯罪行為をしたと認定されやすくなります。
法律的な側面からの評価ではなく、過ちを繰り返さないという視点からの評価では、女性の好意というものを受け止めず、自分都合で利用することは女性を傷つけたことによる結果という見方になり、過ちを繰り返さないために女性との関係では相手を尊重した関わり方ができるようになることを求められるのです。
美人局の被害に遭う
世の中には“美人局(つつもたせ)”と言って、女性を利用して男性を誘い出し、金銭を脅し取ったりだまし取ったりする、恐喝や詐欺行為をする人がいて、カウンセリングの中で聴く相談内容には美人局の被害に遭ったと言えるようなケースもあります。
これに関しては、真実としては相手側が加害行為をしていると言えますが、法的には2人と男女の間で性交渉があり女性が「同意がなかった」と言っているという事実を元に評価が行われてしまいます。
女性の訴えが真実でないと証明できればいいのですが、それは難しいケースもあり結果として性犯罪加害者となってしまうこともあります。
このようなケースも信頼関係を築くことができていない女性との間で性交渉を行ってしまうことのリスクというものが明らかになっています。
男女間で重要なものは同意よりも尊重と信頼関係
相手との間で同意があったはずなのに性犯罪加害者として訴えられているというケースの多くは、相手を尊重する態度やそれによって構築される信頼関係はないのに、自分の性欲を同意があったと認識することだけで満たそうとしたという点が共通しています。
このようなことを繰り返していると、自分は性犯罪をしようとしたわけではないのに結果として性犯罪加害者になってしまうようなことが繰り返されてしまう恐れがありますし、結果的に女性が訴えることはなくても男女間の関係構築において望ましいとは言えません。
カウンセリングで目指す成長と性犯罪抑止
同意があったと思ったのに性犯罪加害者になってしまったというケースでは、行った行為の善悪について考えるだけでなく、女性との関係構築に係わる認知、思考、行動の改善を目指して話をしていきます。
性犯罪を抑止するということは、性欲を押さえつけて女性との性的な関係を我慢し続けることではありません。
人間としてお互いを尊重し合い、信頼関係を築いた相手との間で行われる性的な行為を求めることは人間の尊厳としても認められるべきものであり、幸福度につながる行為でもあります。
自分本位に性欲を満たすのではなく、性欲をコントロールして生活をしていけるような成長を促すことがカウンセリングの目的です。
そのためカウンセリングでは、性犯罪加害者が行った行為の善悪を評価するのではなく、繰り返さないためにどのように変わる必要があるのか、そのために何を意識して、どのような行動を行っていく必要があるのかについて話していくことに重点を置いています。
性欲のコントロールは、より良い人生を歩むためには欠かせない課題です。
1度の安易な行動が相手に深い傷を与え、相手の人生も自分の人生も狂わせてしまう可能性があります。
女性への尊重と信頼関係のない状態での性交渉を繰り返すようなことが生活の中で常習化している場合はより深刻な状態です。
カウンセリングでは性欲をコントロールして、他人の人生も自分の人生も大切にする生き方ができるような成長をサポートしていきます。
このページに書かれているような問題を抱えている方はカウンセリングにお越しください。