うつ病とうつ状態は何が違うのか?

精神科に行ったら、うつ病だと診断されると思っていたら【うつ状態】という診断を受けたことがあるという人は少なくないと思います。
そして、良いお医者さんに診てもらっていた場合、少しだけしか薬が出ないこともあります。

お医者さんからうつ状態だと言われても、詳しい説明を受けない限りうつ病だと受け取ってしまう人は多いです。
しかし、うつ病とうつ状態は、自覚症状は同じようなものが表れますが、症状が出た原因、治るための条件などに違いがあります。

抑うつ気分、不眠、食欲低下、不安や焦燥感、疲労感や倦怠感などは感じているけど、うつ病なのかどうかよくわからないという方は、下記の説明に目を通してみて下さい。

うつ病の原因別分類

表面的は、うつ気分やうつ症状が見受けられても、それらが発生している原因には違いがあります。
うつ病がなかなか良くならないのは、原因に対して適したアプローチが出来ていないことも理由の1つです。

外因性うつ病

外因性うつ病は身体因性うつとも言われ、身体の不調に伴いうつ症状やうつ気分が表れることが特徴です。

例えば、認知症や脳血栓等の脳の病気、脳挫傷などの頭部のケガ、甲状腺機能の低下、糖尿病などの病気、アルコール、 薬物が原因となります。
また女性では、PMS、PMDD(月経前気分障害)、産後うつ病、更年期障害などが原因となって発症することもあります。

治療は、それぞれの症状の治療や緩和と並行して行っていく必要があるので、原因である症状に対する専門医に診てもらいながら、うつに対するケアも同時に行ってもらうことが望ましいと言えます。
カウンセリングについては、治療の経過で表れるストレスの緩和という補助的な位置づけとして活用して頂くことも有効ですが、基本的には原因となっている病気の治療を優先するべきです。

内因性うつ病

遺伝や体質が原因で発症するうつです。
いわゆる『うつ病』と言われるのは内因性のうつのことです。


発症の原因にストレスが影響することもあるようですが、ストレスの影響がなかったり、抱えているストレスが少なくても発症する可能性があります。

心因性のうつの人が、自分はうつ病だと公言するのに対して、内因性のうつの人は、自分がうつ病であることを認めたがらない傾向があり、精神科の受診が遅くなってしまうこともあります。

また、内因性うつ病の特徴は、うつ症状を感じて辛い思いをしていても、それを周囲に隠そうとする傾向もあり、うつ病のつらさを一人で抱え込んで自殺をしてしまうというケースがあるので、うつ病の早期治療を促すことは医療やカウンセリングの分野の専門家の課題であると言えます。

内因性のうつ病の場合は、薬物療法が主になるので精神科を受診して適切な薬をもらい飲み続けること、再発しないように何を気を付けるべきかを教えてもらって実行することが必要です。

心因性うつ病

簡単に言うとストレスが原因でうつ症状やうつ気分が表れるうつです。
大きなストレスを受けた場合でもじわりじわりとストレスを受け続けている場合でも発症します。
心因性のうつ病は、うつ病ではなく『うつ状態』と言われています。


うつ病に比べ、うつ状態というと大したことないように思われるかもしれませんが、症状が出ている原因が違うだけで、症状自体のつらさはうつ状態でも重くなることはあり、決して安易に考えられるものではありません。

心因性のうつは下記のように分類することができます。

疲憊性うつ病

人間関係や仕事などで、感情が揺さぶられるストレスを受けて発症するうつ症状やうつ気分が発症します。
別の言い方をすると不快感を感じ、それが続くことによって精神状態が悪くなってしまうタイプのうつです。

反応性うつ病

家族やペットとの死別、災害、犯罪などの被害によるストレスによって発症するうつです。
場合によってはPTSDにもつながる恐れがあります。

神経症性うつ病

これは神経の疲労によってうつ症状やうつ気分が発生するうつです。
神経の疲労とは、その人の性格傾向によって生まれる思考パターンによって脳が疲労するケースや同じ作業を続けることによって脳が疲労するパターンがあります。
抑うつ神経症と言われるのは、このうつのことです。

上記のいずれも、内因性のうつとは発症の原因が異なるため、精神科ではうつ状態として診断を受けることもあります。
うつ状態の改善には、ストレスを緩和する必要があります。
ストレスをケアするためのカウンセリングを受けることが望ましく、反対に薬物療法は効果が表れにくいと言えます。
ストレスが緩和されると症状も落ち着く傾向があります。

症状が重い場合は、それを緩和するために薬が有効ではありますが、薬を飲むだけでストレス原因が取り除かれなければ、症状はなくならないため、カウンセリングを受けることが必要です。

薬物療法を中心としたうつ病改善

『うつ病に薬は効かない』、『うつ病で精神科に行くと薬づけにされる』という認識を持っていて薬を飲むことに抵抗を感じている人がおられますが、薬の効果を理解して飲むことはうつ病の改善には意味のあることです。

上記にも記載していますが、内因性のうつ病の場合は薬で脳の働きを安定させることが必要になるので、適切な種類と適切な量の薬を飲むことが必要です。

下記では、うつ病に対する薬物療法について認識しておいた方が良いことをまとめているのでご覧ください。

薬は本当に必要なのか?

心身の不調を感じ、精神科や心療内科に行ってうつ病やうつ状態と診断された方の中には、薬は飲みたくないという方は少なくありません。
うつになると病院に通って薬を飲まないといけない、薬を飲み続けることになるという先入観を持っている方もおられますが、決してうつの改善=薬で治療ではないのです。

内因性のうつ病の場合は、病院で出された薬をしっかりと飲んで下さい。
そして薬が合わないと感じたら、薬を飲んで感じた変化を主治医の先生に話して下さい。
内因性のうつ病は薬物療法が有効ですので、お医者さんと相談しながら自分に合った薬を見つけていくことが大切です。


また内因性のうつ病であってもカウンセリングで話を聴いて欲しいという方は、カウンセラーに相談して下さい。
ストレスを緩和することも大切な改善の方法です。

うつ病の薬の役割と薬を飲みながら習慣化すべきこと

カウンセラーという仕事をしているとうつ病の方ともうつ状態の方ともお会いすることが多いのですが、その方たちの持っておられる先入観は、薬を飲まないといけないというものであり、薬を長く飲んできた方は薬を飲んでも良くならないと感じつつ、薬しか頼れないと思ってしまっているということが多いのです。

しかし、一生薬に頼らないといけないということは決してありません。
うつ病の原因は脳内の神経伝達物質の働きが弱っていることであり、生活習慣の改善で脳の働きを活性化することは可能であるため、薬を飲みつつ生活習慣を整えることがうつ病の改善に有効だと言われています。

うつは、神経伝達物質の中でもセロトニンという物質が関係しているのですが、このセロトニンは太陽光を浴びると増えることもわかっていますし、うつにつきものの不眠も太陽光を浴びることで改善されるということもわかっています。
また、神経伝達物質は薬で補給するものでなく、食物に含まれる栄養によって体内でつくられるものなので、最終的には薬ではなく、食生活が重要になってくるのです。

うつ病の治療は、薬を飲んで生活を整えるだけの活力を回復させること、生活習慣を改善することで症状が悪くならないよう予防をしていくことを並行して進めることが望ましいと言えます。
薬だけに頼ることも、薬を完全に拒否することも適切ではなく、薬の力を借りつつも自己管理でうつ病を改善していくということが適切な改善方法です。

内因性のうつ病とカウンセリング

内因性うつ病で精神科に通院されている方もカウンセリングを受けに来られて
います。
うつ病であっても話を聴いて欲しいと思っておられる方は、精神科の通院と並行してカウンセリングを利用しておられます。

カウンセリングでは、しっかりお話を聴かせて頂くのでうつ病の方にも、うつ状態の方にも、それぞれに合ったアドバイスをさせて頂きます。

当事務所のカウンセラーは食生活、運動、睡眠など、いろいろな観点からうつ病やうつ状態の対策について知識を持っておりますのでご安心ください。

心因性うつ病の人はカウンセリングへ

ストレスが原因である心因性のうつ病になった場合はカウンセリングを受けて下さい。
うつ症状が出ているけど、最近ストレスを抱える原因がはっきりとあるという場合は、心因性のうつ病の可能性が高いです。

ストレスが原因でうつ気分、うつ症状が出ているという人は、一旦状態が良くなったとしてもストレス原因が解決できていなかったり、ストレス耐性が強化されていなければ、またうつになってしまう可能性があります。

カウンセリングでは、うつ気やうつ症状の原因となるストレスの緩和、ストレスに対する対処を身につけること、ストレスを自分の中で消化できるように認知を変えることなどを目的に話を進めていきます。

自分はおそらく心因性うつ病だと思うという方は、カウンセリングをご利用ください。
もしカウンセリングを進めていく中で内因性のうつ病の可能性があると感じた場合は、病院に行くことも提案しています。