親に問題があるから子供が不登校になるのか?

子供が不登校になったら、『甘やかしたからではないか』、『厳しくし過ぎたのだろうか』と自分達の育て方や子供との関わり方を責めてしまう親がいます。

一方で、不登校の子供がいる家庭は、『家庭環境が悪いのではないか』、『親が甘やかしているはずだ』、『勉強をしろと言いすぎている』、と思われるのではないかという不安を持ってしまう親もいます。

このような自責の念が強くなったり、世間の評価を気にしてしまうことによって子供が不登校になったことを恥じてしまっている人がおられます。
そして、子供が不登校であることを周囲に隠そうとしたり、家族の中だけで対処しようとしてしまいます。
時には、母親が子供が不登校になったことを自分だけで抱え込んでしまい、夫婦で子供が学校に行けていないことについて話ができていないということもあります。

子供が学校に行かない理由は親が原因とは限らない

子供が学校に行かなくなる理由は、家庭環境や親の影響であることもあります。
また、いくつかの理由が重なっていて、その中に家庭環境や親の影響が入っていることもあります。
ただ、原因があるからと言って親が悪いと結論を出さないでほしいと思います。

不登校の原因に親子関係があったとしても、親の態度や育て方が悪いからではなく、子供と親の性格の相性が不登校につながっていることもあります。
また、子供が学校に行けていない要因が親子関係以外であるということも少なくありません。

実際に不登校の要因としては、子供の無気力や不安・情緒的混乱が多いと言われています。

学校に行きたいけどいけない子供がいる

不登校児に対して、親や教師の中には『学校に行きたいたくない思っている』と判断する人がいますが、子供の話をよく聴いたり、日常の様子を観察せずに決めつけるのは早計です。
不登校児の中には、対人恐怖症のために学校に行けない子もいます。
本当は、できることなら学校に行きたいし、勉強をしたいけど、対人関係に恐怖を感じるため学校にいけないという状態です。

学校は、同世代の人たちと同じ空間で1日を過ごすのですから、対人恐怖症であれば学校に行くことが辛いと感じるのは不思議ではありません。
しかし、周囲からは『怠けている』、『辛いことから逃げている』といわれ、学校に行きたくないというよりも怖くて行けないのだということが理解してもらえないこともあります。

対人恐怖症で学校に行けない子の中には、勉強は好きだったり、特定の友達とは会いたいと思っている子もいるので、学校に行くことが怖いという状態は自分にとっても好ましくないのです。

思春期から始まる不登校

対人恐怖症が理由の場合、思春期くらいから学校に行けなくなるケースが多いです。
それは対人恐怖症のもととなる感覚が思春期に芽生えるからです。

思春期に入ると、心の成長に伴い一部の人と深い人間関係を築けるようになる半面、それまでに比べて他者からの評価を意識するようになります。
クラスの中で友達とクラスメイトの違いが明確になって、クラスメイトだけど友達と言えるほど親しいわけではないという人とは、好かれる必要は感じなくても学校生活を平和に送る上では嫌われたくないという存在になります。

このような段階から、親しくはないけどお互いのことを認知している存在から自分に向けられる評価を過剰に意識し始めてしまうと、周囲の視線や評価が気になって落ち着かなくなり、対人恐怖症になっていくのです。

思春期は不安や恐怖をコントロールする力が弱い

人間の脳の発達は、後ろの部分から進んでいき、感情をコントロールする前頭葉は一番最後に大人としての脳の働きを獲得します。
その時期は大体25歳くらいといわれているため、思春期には他人への興味関心が高まる反面、不安や恐怖も感じるという脳の働きを前頭葉が上手くコントロールできないため、対人恐怖症をはじめとした心の病が発症しやすいのです。

このような脳の発達という観点からも思春期の子供達への理解をしてあげることが学校に行けなくて悩んでいる子供を支援するために必要なことだと考えています。

不登校の理由は学校恐怖症

上記のようにクラスという集団が生み出す空気を敏感に感じ取り、学校に行くことが怖くなり不登校になる子がいます。
対人恐怖症の中には、学校恐怖症が含まれます。
不登校になっている子供の中には、学校恐怖症という対人恐怖症を抱えている子がいあるのです。

学校恐怖症の子は、学校の中でさまざまな心の負担を感じていて、それは下記のような形で表面化しています。

学校が怖いと感じる主な理由
  • 本を読む、発表をする時に顔が赤くならないか不安
  • お昼休みにクラスの中で昼食をとることに苦痛を感じる
  • 人が見ている前で字を書こうとすると手が震えて書けなくなる
  • 自分の視線がクラスメイトに不快感を与えていないか不安になる
  • クラスの中にいると落ち着かない気持ちになる

子供が不登校になった時、上記のような理由を抱えているかもしれませんが、親に話すと甘えていると思われたり、勉強から逃げていると思われることを恐れて理由を話せなていないということもあります。
また、子供が学校が怖いと言っていたけど、とりあえず学校に行っていれば慣れると思って学校に行くように言い聞かせている親もいます。

もし子供が学校恐怖症によって不登校になっているのであれば、無理やり学校に行くように説得することは良い方法だと言えません。

学校恐怖症への対処法

学校恐怖症は対人恐怖症の一種であるため、学校を卒業してからもその問題を抱え続けることもあります。

子供が学校恐怖症であった場合、学校が怖くなってしまう感覚を否定すると、余計にその感覚が強くなってしまう可能性があります。
学校が怖いという感覚は、本人が受け止め学生時代はもちろん、その先の人生を送っていくために克服していかなければなりません。

『なぜ自分は学校が怖いと感じるのか?』と自分に問い掛け、怖いと感じる敏感さを受け入れて生きていくための心の柔軟さを身につけていく必要があります。
それには、本人のペースで考える時間、本人の納得のよって生まれる答えが必要です。

カウンセリングは、自分の心の中で生じる不安や恐怖を抱えつつも自分にとって望ましい判断と行動ができる心を育てることを目的に行います。

学校に行くための支援は親の役割

子供が不登校になっている原因は親とは限りませんが、どんな理由で子供が学校に行けなくなっていたとしても、学校に行くための支援は親の役割です。

子供が学校に行けるようになるために親ができる支援はいくつもあります。
まずは子供の心境や状態に関心を寄せること、子供が学校に行けない状態を受け入れつつ見守ること、子供に与えるべき登校刺激がわかったらその登校刺激を与えること、子供にとって安心できる家庭を維持することなど、子供と向き合いながら適切な機会、適切な強さで関わってあげて欲しいと思います。

子供が不登校になったら実行してほしいこと

まずは、学校に行かない子供に対して、【なぜだろう】という疑問を持ってください。
この疑問は、子供に対して「なんで学校に行かないの?」と責めるニュアンスではなく、子供と一緒に考えるという姿勢です。

そして、具体的な行動として実行してほしいことは以下の3つです。

  • 早寝早起きを基本とした規則正しい生活
  • 適度な運動で脳と体を刺激する
  • 親子で一緒に食事をする


学校に行けるようになることは視野に入れつつも、学校に行けない場合でもこの3つを実行することを子供と約束すること、そしてこれらを実行しやすいように親も協力することから始めてください。

不登校になったことによって警戒しなければならないことは、不健康な生活習慣が定着するということです。
不健康な生活習慣が定着すると、本来なら上記の3つを実行していれば自然と学校に通えるようになったはずの子でも、学校に行けなくなってしまいます。

上記の3つを実行してもらうことは、不登校対策の土台となるので重視してください

登校刺激を与えるタイミング

子供が不登校になっても、学校に行こうという気持ちが出てくるまでは健康的な生活を保つことを優先して下さい。
規則正しい生活さえ崩れなければ、学校に行きたい気持ちになる心の健康と親との交流の機会は維持できるからです。

その上で、タイミングを見て登校刺激を与えてあげて欲しいのです。
何が子供の登校刺激になるかを判断するのは難しいですが、まずは登校刺激を与えても大丈夫な時期が来るのを待ちましょう。

どのような登校刺激を与えることが望ましいかは、子供の様子を観察して、言葉を交わす中で見えてくることがあります。
親子の会話があれば、子供からどんな登校刺激が必要かわかるような言葉が出てくることがあります。

子供から親に話しかけてくるようになり、会話の機会が増え、子供から前向きな言葉が聞けるようになってきたら、登校刺激を与えて良い機会と考えて下さい。

不登校の原因に合わせたカウンセリング

上記で説明した通り不登校の原因は親とは限りませんが、親だからこそできる支援はあります。
ただ、親が不安と焦りを抱えて子供に接すると、子供もそれを敏感に感じ取ってしまいます。
子供が不登校になって悩んでいるという方は、まずは現状を整理して頂くことが望ましいと思いますので、カウンセリングを活用して頂ければと思います。

私達は不登校に悩む親子の相談を受けている中で不登校の原因はさまざまであり、原因に合わせた対策を行っていくことの重要性を理解してカウンセリングを行っています。
具体的にどのようなカウンセリングを行っているのか、下記を読んで頂ければと思います。

不登校の原因に合わせた心理的支援とは

自分の子供が不登校になったら、親としては当然心配だと思います。
子供に学校に行くように促しても行ってはくれない、口論になるなど、対応に困っている方も少なくないでしょう。

カウンセリングでも子供の不登校に関する相談を受けることがありますが、よく話を聴いて学校に行けていない原因をカウンセラーが把握することに努めます。
また、不登校になっているご本人が、自分がなぜ学校にいけないのかよくわからないというケースもあるので、話をして頂くことで自分の気持ちに気づいて頂けるように支援しています。

中には自分が学校に行けない原因がわかっていても、親に話しても理解をしてもらうことは難しいと思って親には本当の気持ちを伝えていないというケースもあります。

不登校は、学校に行っていない状態が続いているという共通点はあっても、不登校という状態になっている原因が違うので、話をよく聴かせて頂いた上で支援をしていくことになります。

子供が不登校になる7つの原因

どのようなことが不登校の原因になっているのか説明したいと思います。
ご自身やお子様が下記の原因に当てはまるかどうか確認しながら読んで下さい。
不登校の原因として多い7つの項目を取り上げています。

人間関係のトラブル

人間関係のトラブルとは、いじめ、友人とのケンカ、先生との衝突や先生への失望などが上げられます。
いじめは不登校の原因となりやすいですが、いじめについて先生に相談したら失望したということで不登校になったというケースもあります。

無気力

学校に行った方が良いことはわかっているけど、行く気力が沸かない人もいます。
不登校の中では、無気力で学校に行けないケースが一番多い原因だと言われています。

無気力の場合は、学校に行くことを促す方が良いのか、本人の気力の回復を待つ方が良いのかは、本人の状態や性格などを考慮して判断しなければなりません。
正論で学校に行く必要性を伝えても行けるようになるわけではないので、無気力になっている理由やどんなことが登校刺激になるのかを把握して、タイミングを見て学校に行くことを提案します。

ただ、無気力の理由によっては、学校に行くことよりも優先すべき事柄がある場合もあるので、カウンセラーの支援の仕方も変わってきます。

原因がわからない心理的、身体的不調

原因がわからない心理的、身体的不調とは、主にストレスによって心身の不調をきたしていることが多く、学校に行けるようになるにはストレス原因を把握して対処をすることが必要となります。

本人が学校に行きたくないわけではないので、学校に行くことを促す前に話をよく聴いて心身の不調の内容や程度、ストレス原因をはっきりしていくことが求められます。

学校に行く時間になったらお腹が痛くなる、頭痛がする、吐き気がするなどの症状に悩まされる人がいるので、心理的、身体的不調がある場合は精神医学の知識のあるカウンセラーに相談して下さい。
弊社は公認心理師が在籍しており、心理的、身体的不調に関する相談にもお応えすることができます。

勉強についていけない

勉強についていけないという学業不振が原因のケースもあります。
学業不振は勉強が苦手な子だけがなるのではなく、進学校に入って周囲の学力の高さにプレッシャーを感じたり、劣等感を感じて勉強が出来なくなっていることもあります。

弊社では、場合にっては学業不振になっている人向けのメンタルトレーニングも提供することができます。
大切なテストを受ける時に、覚えているはずの問題が解けない、いつも解ける数学などの計算式ができない、という人は担当カウンセラーを衣川竜也で予約をして下さい。
その際はメッセージ欄にメンタルトレーニング希望と記載して下さい。

発達障害

発達障害は、自閉症スペクトラム症、注意欠如・多動症、局限性学習症などの影響によって学校生活を困難に感じることが多くなり、学校に行けなくなるというケースがあります。

発達障害が原因の場合は、本人だからこそ感じている学校生活の不安や戸惑いがあるので、それに寄り添いながら支援します。
学校だけでなく、今後の人生も含めて発達障害とどう付き合っていくことが望ましいかを不登校をきっかけに習得する機会ととらえることが大切です。

発達障害が原因の場合は、発達障害に関する知識のあるカウンセラーに相談して下さい。
弊社は、公認心理師が在籍しているので安心してご相談下さい。

家庭環境

親の不仲、離婚、リストラや親が手掛けている事業の不振による家計の悪化などが子供の不登校につながっているケースもあります。
中には自分が家庭の問題要因となることで、家庭内にある問題を誤魔化すという役割を担ってしまっていることもあります。

このようなケースは、ご本人が抱えている家庭内の葛藤を安心して話せる機会を作ってあげることが大切で、カウンセリングでは家庭環境についてもしっかりと話を聴かせて頂きます。

遊びや非行

遊びや非行については、その背景に家庭環境が原因としてある場合が多いと感じています。
親の不仲、親からの過度な干渉、もしくは無関心、親の価値観への反発などが遊びや非行に走っている理由として挙げられます。

このケースは、どのタイミングでご本人がカウンセリングを受けて頂けるかがポイントになります。
ご本人がカウンセリングを受けることを拒否するケースも多いのですが、その場合はご両親への心理コンサルティングという形で支援します。

不登校児と親御様へのカウンセリング

カウンセリングは、話を聴くということが重視されていますが、不登校の相談に対しても同じです。
しっかりと話を聴かせていただくことによって、どのような原因で不登校になっているのかがわかってきます。

原因がわかるからこそ、学校に行くことについてどのように話を進めていけばいいのか、学校に行くことを促すべきかどうか、何を解決することで学校に行けるようになるのかなどを判断できるようになります。

不登校の相談を受けた時は、学校に行けていない状態を善悪で評価するのではなく、学校に行けていない状態を生み出している原因や理由に目を向けて学校に行けていない本人、親御様と最善の方向性を考えていくことが必要だという考えのもとカウンセリングを行っています。

学校から先の人生に視野を向けて

不登校の相談では、子供が学校に行けない原因や理由によっては、学校から先の人生についても一緒に考えるという取り組みが必要となることもあります。

子供も年齢が上がるほど学校から先の世界があることは理解しているので、そこに希望を見出せるように話をしたり、自分の今の生活が学生生活を終えた
後の人生にどうつながるのかを想像できるように話をします。

学校に行けていないことだけを焦点にするのではなく、自分の人生についてしっかりと考え、自分で判断し行動していくビジョンを持ってもらうように促すこともカウンセリングの中で進めていきます。