カウンセリング中の沈黙が気になる

カウンセリング中では、沈黙が訪れることは少なくありません。
カウンセラーの中には、沈黙になることが苦手だと感じながらカウンセリングをしている人もいます。
クライエントの中にも、沈黙になると戸惑っている人もいますが、実は沈黙できる時間があることを心地いいと感じている人もいます。

2人の人間が対話をしている以上、沈黙になる瞬間があるのは仕方がないことなので、カウンセラーもクライエントも沈黙の必要性を理解しておくと、カウンセリングがやりやすくなるので、この記事ではカウンセラー、クライエントのそれぞれの立場からカウンセリング中の沈黙について解説しています。

カウンセラーにとっての沈黙

カウンセラーの中には、沈黙が苦手という人もいます。
クライエントが無言になってしまうとカウンセラーが耐えきれずに話だしてしまうことがあります。
中には自分がカウンセリングをしたら、クライエントが無言になることはないと思っているカウンセラーがいるかもしれませんが、それはクライエントが安心して沈黙することができるカウンセリングができていないからかもしれません。

カウンセリングにおける沈黙の時間は、クライエントにとってとても意味のある時間なので、カウンセラーは沈黙が生まれる理由を知っていなければなりません。
このページでは、カウンセリングにおける沈黙について説明しています。

カウンセラーの想像力と沈黙

カウンセラーは、カウンセリング中に無言になっているクライエントに対し温かい気持ちで待ち、沈黙しているクライエントに対して想像を巡らせることが必要です。

・クライエントが自分と対話しているのかもしれません。
・もしかしたらカウンセラーに対する抵抗かもしれません。
・話したいことがあるけど、秘密を守ってもらえるのかという不安がある
 のかもしれません。
・話すことを必死に整理しようとしているのかもしれません。
・カウンセラーの言葉を待っているのかもしれません。
・話すことにエネルギーを使って休んでいるのかもしれません。

クライエントが沈黙する理由はさまざまです。
カウンセラーは、沈黙しているクライエントを観察して、クライエントがしゃべらない理由を想像して、そこから先のカウンセリングの展開を考えることが求められます。

また、男性は何かを考えている時には無言になりやすいので、男性のクライエントが沈黙している時は、カウンセラーがクライエントが話し始めるのを待つことができないと、気づきや洞察のあるカウンセリングになりません。

カウンセラーは、沈黙の時間が生まれそうなら、上手に沈黙に誘導することが出来なければならないし、クライエントにとって意味のある沈黙を生み出せるカウンセリングができることが望ましいと思います。

クライエントにとっての沈黙

カウンセリングを受けてみたいけど、会話が苦手で沈黙が訪れることが怖いので一歩を踏み出せないという方がおられるかもしれません。

クライエントにとっての沈黙は、自己との対話、カウンセラーへの抵抗や不安、思考の整理、会話中の待機や休憩など、いろいろなケースがあります。
人と会話をする上で沈黙が訪れるのが苦手で、それが理由でカウンセリングを受けることを躊躇しているという方は、沈黙にはいろんな意味があってクライエントはカウンセリングの中で沈黙しても気にしなくていいということを理解して頂ければと思います。

普通の会話では沈黙が苦手に感じていても、カウンセリングの中でなら沈黙しても気にならないという方もおられます。
それは、カウンセラーとクライエントという形で立場がはっきりしているので、沈黙しても気になりにくいということが考えられます。

カウンセリングは、カウンセリングを利用する人のための時間なので、沈黙している時間も大切で意味のある時間です。
自分が何を理由に沈黙しているかということが、自分の抱えている課題と関係があったり、心の成長と関係があることもあるのです。
カウンセリングを受けてみたいと考えている方、現在カウンセリングを受けておられる方には、沈黙を怖がらずに話をして頂ければと思います。

カウンセリング中の沈黙と男女の違い

カウンセリングをしていると男性と女性で沈黙が訪れる機会が違うことを感じます。
女性に比べて男性の方が、カウンセリング中に沈黙が訪れる機会が多いです。

これに関しては、過去に指導をして頂いていた先生から下記のような説明を受けました。

女性は、自分が話しながら試行を整理しているので、沈黙になることが少ない。
その分、女性の話は整理されていないことが多いけど、話しながら整理しているのだということをよく理解して聴いてあげることが大切。
男性は、思考の整理をするためには黙る必要がある。
女性のように話しながら試行を整理することが難しいので、カウンセリングの中でしっかりと沈黙できる雰囲気を作ってあげることが大切。

また、女性が黙っている時はカウンセラーへの抵抗や不安が根底にあることが多く、男性が黙っている時は自分と向き合って考えていたり、カウンセラーからの言葉を待っていることが多いとも聞きました。

そのような傾向は、全ての人に当てはまるわけではないかもしれませんが、カウンセリングをする上の手掛かりとして知っておくことは有益だと思います。
また日常の男女間の会話にも通じる内容なので、異性と話す時の参考にもなると思います。

沈黙の捉え方、扱い方がカウンセリングの質を上げる

カウンセリングの中で生まれる沈黙は、悩みの解決やクライエントの成長につながる大切な時間であることもあります。
そして、そのような沈黙は価値のある時間です。
むしろ、カウンセリングという時間を持つことによって、沈黙をして自己洞察をしている時間が増えて心の成長が促進されるということもあります。
決められた空間と時間の中で、安心して自分と向き合えるということは、自分の心を見つめるいい機会になっているのでしょう。

時には、カウンセラーに対する抵抗、話をすることへの不安、思考が整理できない状態、などによる沈黙が生まれることもあります。
これも意味のある沈黙です。
カウンセラーはクライエントの沈黙をクライエントの状態を想像する機会と捉える必要があるし、クライエントは自分の心の状態に気づくための時間になります。
沈黙が何を意味しているのかをカウンセラー、クライエント双方が考えることでカウンセリングの進み方も変わってくるのです。

カウンセラーの沈黙に対する捉え方、扱い方がカウンセリングの質にも関わってくることを心に留め、カウンセリング中にクライエントが安心して沈黙と向き合えるような空間と時間を提供することが大切だと感じてカウンセリングを行っています。