人間関係の板挟みはストレスから逃れられない状態

この記事には、人間関係で板挟みに合い悩んでいる方に解決の手掛かりにして欲しいことを書いています。
家族、学校、地域、職場など、さまざまな環境の人間関係の中で板挟みになってしまう可能性があります。
カウンセリングでは、職場の人間関係の中での板挟みで悩んでいるという相談を聴くことが多いのですが、どのケースにも当てはまる内容について書いているので参考にして頂ければと思います。

板挟みは人間関係の葛藤が続く状態

板挟みというのは何らかの対立関係にある2人の人間の間にいて、どちらにも付きかねる立場で辛い思いをしている状態です。
なぜ板挟みが辛いかは、誰もが直感的に想像できると思いますが、少し専門的に人間関係の板挟みが辛い理由について説明したいと思います。

2人の人間の間で、どっちにつくこともできずにいる状態は心理的な葛藤を抱え続けることになります。

葛藤が続くと人間はフラストレーション(欲求不満)という状態に陥り、それが長期化すると心理的にも身体的にも不調が表れるようになります。
葛藤は早い段階で取り除くことができれば心身の不調もでない、または治まるのですが、人間関係の板挟みによって生じた葛藤は容易に取り除くことができません。

どちらに付くこともできない、どちらに付いたとしても一方から責められるなどして辛い思いをする。
だからと言ってこのままの状態でも辛いというような葛藤は、回避ー回避型の葛藤と言います。
どちらを選んでも好ましくない選択肢があり、どちらも選びたくない、選ばない状態も辛いというストレスから逃れられない状態です。自分の力で葛藤を消すことはできないし、板挟みの原因である2人も変わることはないため、この状態に悩んでいる人は多いのです。

人間関係の板挟みと言える事例

私達が生活しているさまざまな環境で人間関係の板挟みは生じます。
その中でも比較的多い事例を取り上げて紹介しています。
この記事を読んでおられる方の中にも、下記のような事例を体験したという人は少なくないのではないかと思います。
また、今後の人生でも板挟みに合う体験をする可能性もあります。

職場での板挟み

板挟みが生まれやすい環境の1つは職場です。
対立している先輩同士の間、仲の悪い後輩同士の間、上司と部下の間など、板挟みを生みやすい人間関係のパターンが沢山ある環境である職場は、板挟みに悩んでいる人が多いと言えます。

職場は、お互いの主義主張や出世欲などが交錯して対立が生まれやすい環境でもあるので、対立している当事者は1人でも仲間を増やそうと他の人に働きかけるので板挟みに合ってしまう人が生まれるのです。

家族間での板挟み

家族も人間関係の対立が生まれることがあるので、その間で板挟みになるということがあり得ます。
両親との間、両親のいずれかと祖父母の間、兄弟間など、板挟みが生じる人間関係のパターンが複数あります。
特に多いのは、自分の母親と配偶者との間の板挟み、または義母と配偶者との間の板挟みです。

自分が育った家族間の板挟みは、幼少期から続いている可能性があり、板挟みに合っている本人にその自覚がなく、何らかの不調が表れたことによりカウンセリングを受けて、自分が板挟みになってストレスを抱えていたことに気づくというケースも少なくありません。
結婚後の板挟みは、新しい家族が加わったことでこれまで無かった葛藤が生まれたり、家族間だけなら見逃してこれた葛藤が大きくなったりすることによってその葛藤の間に挟まれることによって起こります。

友人同士の間での板挟み

よく3人組の友人関係の中で起きやすい板挟みです。
3人で仲良くしていたのに、いつからかその中の2人の関係が悪くなり、双方と仲のいい自分が板挟みになってしまうというパターンです。
これは学校での友人関係や職場で仲良くしている女性同士に生じやすい板挟みだと思います。
3人組の中の2人の間に葛藤が生じると、対立している当事者は残る1人には自分を理解して欲しい、賛同して欲しいと思うので板挟みになってしまいます。

ママ友との間での板挟み

ママ友の中での板挟みに悩んでいる人も少なくありません。
自己顕示欲の強い人、仲のいい人を増やして自分の価値を高めようとする人がママ友の中にいて、いつの間にか「どっちにつくの」という選択肢を迫られる状況になってしまうこともあるようです。
また友達同士の板挟みと同じようなパターンで板挟みになってしまうこともあります。

人間関係の板挟みにあった時の対処法

人間関係の板挟みの対処法は次の3つが有効です。
人間関係のバランスを崩す、間を取り持つ、もしくは治まるまで待つ。この3つの方法について説明します。

人間関係のバランスを崩す

板挟みにあっている状態とは、自分が人間関係のバランスの中の中間点にいる状態であると言えるので、どちらか一方に偏ることによってバランスが崩れます。
どちらかに偏った立場であることを示すことで、一時的には一方から非難をされるかも知れませんが、中間にいて双方からストレスを受け続けている状態を終わらせることができます。
ただ、その後の自分の立場を考えると、大義名分のある方を支持することが大切だと言えます。
双方の立場や言い分をよく見極めて判断する必要があります。

この方法は、対立しているけど、明らかに一方が正しいことを言っているという時には選択しやすい方法です。
どちらの主張も正しい場合や理解できるという場合は、葛藤から逃れたいからと言って選択しない方が良いでしょう。

対立している人同士の間を取り持つ

対立している人同士の間を取り持つという方法は、双方の言い分を聴き、お互いが対立しているポイントを整理して葛藤を治めるように働きかけることです。

対立しているとしても相互理解を深めることで葛藤が解消されることがあります。
相互理解を深めると対立が治まりそうな状態の2人も、1度対立関係になると当事者だけでは意地や面子、相手に対する思い込みが邪魔をして葛藤を解消することが難しいというケースもよくあります。
そんな時は、自分が双方の理解者となり、その上で対立している人同士が相互理解を深めることが出来るように援助してあげることで葛藤が治まり、自分も板挟み状態から解放されます。

この方法は、自分自身が双方の言い分を偏らずに聴くことが出来るかという点、そして対立している人同士の相互理解が可能な状態かを見極める必要があるという点、対立している双方の言い分とその背景にある感情を分析して相互理解を促せるかという点から、とても難しい方法だと言えるでしょう。

普段からどちらからも信頼されたり、一目置かれているような状態だと比較的成功率は高くなるので、自分自身が対立している2人からどう見られているかもよく理解した上で実行した方が良い方法です。

板挟みを生んでいる対立が治まるのを待つ

板挟み状態を生んでいる対立が治まるのを待つという方法もあります。
対立が長続きしないような状態なら、自分がリスクを負って労力を割く必要もないので、この方法を選択するのも良いかと思います。
ただ、対立が長続きするような場合は、ストレスを受ける期間も長くなるので対立がいつ終わりそうなのか見極める必要があります。

また対立が治まるのを待つ中で、どっちにも良い顔をしてどちらの言い分にも賛同するようなことを言っていると対立が悪化することもあれば、対立が治まった後に板挟みになっていた人に対して信用ができないという疑念を抱かれたりすることもあるので、この方法を選択する時は自分の態度を慎重に選ぶことが求められます。

板挟みのストレスが辛いという方はカウンセリングへ

人間関係の板挟みの悩みを抱えてカウンセリングに来る人の中には、明らかなストレス症状が心身に出てしまうほど悩み続けている人もおられます。
板挟みによって生じているストレスが余りに辛く、心身の状態も悪くなっているという場合はカウンセラーに相談することも考えて下さい。

人間関係の板挟みによってストレスを抱え続けると、うつ症状、パニック症状が出ていたり、胃腸の調子が悪くなる、頭痛が治まらない、などという状態になってしまうこともあるのです。

板挟みから解放されるには、上記の3つの方法のどれかを実行する必要がありますが、どの方法が選べばいいかわからないという場合もカウンセラーに相談することは有効です。
なぜなら、カウンセラーは話を聴かせて頂くと葛藤の原因、お互いの主張、その背景の心理描写、対立が終わらない心理的要因などを分析する力があるからです。
その分析をもとに板挟みになっている状態の中でどのように行動することが望ましいかをアドバイスさせて頂きます。

人間関係の中で板挟みに合った場合は、今の人間関係から距離を取ることができれば悩みも終わるのですが、生活の中でその選択を選べない場合も多いと思います。
さまざまな状況の中でも付き合っていかなければならない人間関係というのはあるので、適切な対処法や距離の取り方を身につけていくためにもカウンセリングを活用して頂ければと思います。