強迫性障害

強迫性障害で悩んでいる方は、自分が抱えている強迫行為、強迫観念を相談できず、強迫性障害であることを隠して生活しています。
カウンセリングは、強迫性障害について安心して話ができる機会です。
身近な人にも強迫性障害であることを相談できないという方や病院に行っても薬はもらえるけどもっと話を聴いてもらいたいという方は、一度カウンセラーにご相談ください。

強迫性障害は、自分の心にストレスという負荷が掛った時に決まった行為や観念が生じるという心の病なので、話を聴いてもらいながら自分の心の状態に反応して強迫性障害の症状が生じないようになることを目指してカウンセリングを進めていきます。

強迫性障害とは?

強迫性障害「OCD:Obsessive Compulsion Disorder」は、自分の意思に反して浮かぶ考えやイメージ(強迫観念)にとらわれ、特定の行動をせずにいられなくなる(強迫行為)が止められず、日常生活に支障が出てしまう病気です。

精神疾患の国際的な診断基準DSM-5では「強迫症」という名称になっています。

バカバカしいことだとわかっていながらも、強迫観念による強迫行為を止めることができない。
強迫行為を繰り返すことで悪化していくため、長期化しやすいのが強迫性障害の特徴です。
周りに知られないように隠し続け、かなり悪化した状態から治療に取り掛かることで改善に時間を要しやすい傾向があります。

家族に対して、大丈夫という保証を求める、強迫行為を代わりにやらせる、強迫観念に基づくルールを強いるといったことは「巻き込み症状」と呼ばれています。
巻き込み症状で家族全員が疲弊して悪化の一途をたどるケースは少なくありません。
ご家族の接し方についてのアドバイスもおこなっておりますので、なるべく早い段階でご相談いただければと思っております。

強迫性障害の発症年齢と改善の傾向

強迫性障害の発症年齢は、平均で20歳前後と言われています。
男性は児童期、青年に気発症する人が多く、女性は成人後の発症が多い。
この病気の男女比はほぼ同じです。

比較的若い時期に発症する原因を考えれば改善のために必要な取り組みがわかります。
人間は年齢が若いほど自分のストレス状態を把握することが難しく、心理的葛藤と向き合うための思考力が未熟であるため、ストレスによって強迫行為や強迫観念が引き起こされやすいのです。
カウンセリングでは、その特徴を踏まえて強迫性障害はもちろん、関係する脳の働き等の知識を提供すること、自分の心の葛藤を整理する思考力が身につくような対話を続けることを意識したアプローチを行っています。

実際にカウンセリングを継続して知識が増え、自分の状態を客観視できるようになり、ストレスと向き合う思考力、対応力が身についた人が強迫性障害のカウンセリングから卒業しています。

強迫性障害の種類

強迫性障害の特徴、恐怖の対象は人によってさまざまです。
強迫性障害のカウンセリングの中では、下記のような内容の相談を受けることが多いように思います。

  • 確認行為 … 施錠、電気、窓などを何度も確認してしまう
  • 不潔強迫 … 自分の身体の汚れが気になって何度も洗わずにはいられない
  • 加害恐怖 … 自分が不注意によって誰かを傷つけないか不安になる
  • 被害恐怖 … 何かの出来事で傷つくのではないか不安になる
  • 不完全恐怖 … あるべき場所に物を置かなければならないと不安になる
  • 数唱強迫 … 4、9などの不吉な意味合いを感じる数字を避けたり、数え続ける
  • 縁起恐怖 … 社会的、倫理的、宗教的によくない行いをしないか不安に駆られる
  • 疾病恐怖 … ガンや心臓病など、命に係わる重い病になっているような気持ちになる
  • 自殺恐怖 … 自分は自殺をしてしまうのではないかという不安になる
  • 保存強迫 … 大切なものを捨ててしまうのではと不安になり、ゴミだらけになる

強迫性障害は、上記のような特徴の総称なので、人によってさまざまな強迫観念、強迫行為があります。

強迫性障害チェックテスト

自分が持っている強迫行為、強迫観念をチェックしてみて下さい。

強迫行為チェック
○戸締りをしたあと何度も確かめに戻ってしまう
○手洗いをしてもきれいになってないと感じて手を洗い続ける
○ガスの元栓、電気やエアコンの消し忘れが気になって確かめに戻ってしまう
○服を着る等、何かを行う時に決められた順序でないと気になってやり直しをする
○車を運転していると少しの音で誰かを跳ねたのではないか気になってしまう
○その他、止められない行動がある

強迫観念チェック
○電車のつり革、ドアノブなどは、汚いのでさわりたくない
○尖っているものがとても怖いと感じる
○自分が誰かに暴力を振るっている場面が頭に浮かぶ
○周囲の人に臭いと思われていないかと心配になる
○反道徳的、反社会的なことをしたいと思ってしまう
○ものを捨てるのが不安で部屋に必要のないものが溢れている
○その他、気になって仕方がないことがある

テストの結果はいかがでしたか?
強迫性障害に関しては、強迫行為と強迫観念いずれか1つにチェックが入り、それが自分の生活を窮屈にしてしまっている場合やスケジュールや行動に支障をきたしている場合は、一度カウンセラーにご相談ください。

強迫性障害改善に向けたカウンセリングでの対応

強迫行為や強迫観念を持っておられる方は、『こんなことを話したらおかしな人と思われないだろうか』という不安を持っています。
そのため、自分の強迫行為や強迫観念について人に話すことがなく、自分の心の中に留めてしまうことで客観的に強迫行為、強迫観念について考える機会を持つことができません。

強迫性障害は、自分の強迫行為、強迫観念について十分に話を聴いてもらうところから改善が始まるのです。
カウンセラーは、強迫性障害に関する知識を持っていますので安心してお話しください。

カウンセリングでは下記のような取り組みによって強迫性障害を改善していきます。

安心につながる感覚を養う

強迫観念は不安な感情に駆られて制御不能になった思考が生み出すものです。
そして強迫行為によって毎回一時の安心感を得ることを繰り返しています。

強い不安がある以上、「大丈夫」だと思おうとしても思えず、強迫観念、強迫行為は続いていく。
改善するために必要なのは不安を和らげる感覚、安心感なのです。

カウンセリングでは自己肯定感をはじめ、安心感につながる要素を集める取り組みをおこなっていきます。
安心感が養われるにつれ不安が和らぎ、強迫観念、強迫行為は減っていくのです。

巻き込み症状が出ている人は、愛着の問題を抱えている可能性が高いため、安心感を養うことで改善しやすい傾向があります。
ご家族が強迫観念、強迫行為に振り回されず、愛情やつながりを感じてもらえる接し方ができるかどうかも重要です。

段階的に強迫行為を減らす

強迫性障害の治療法として認知行動療法(暴露反応妨害法)があります。

確認等の強迫行為を不安を感じる度合いが低いものから減らしていくのですが、一人で取り組むのは難しく、また家族の協力を得てもなかなかできないと言われるケースが多いです。
例えば、鍵の閉め忘れが気になったとき毎回戻って確認していた人が、急に確認せずそのままにしておくというのは不可能ですよね。

カウンセリングではまず何が強迫行為に該当しているかを洗い出すことから始めていきます。
そして、その中で不安の度合いが低い強迫行為に対して抵抗を弱める工夫をしながら少しずつ取り組みを重ねる。
今までなかった「大丈夫かもしれない」と思える感覚が養われて強迫行為をせずにいられる状態になっていきます。

不快な感覚と共存する

自分にとって不快な感覚を一切感じずに生活することはできません。
誰しもどこかしら不快な感覚を抱えながら生きています。

不快な感覚を受け入れ、共存できる状態になることが強迫性障害の克服です。
自分にとって不快なこと、納得いかないことを置いておけるようになるサポートをカウンセリングではおこなっております。

手が汚れたと思ったらすぐ洗う、鍵を閉め忘れたと思ったらすぐ確認しに戻る、縁起が悪いことをしたらすぐやり直す…
こういったことを繰り返してきた中で、気になっても置いておくというのは非常に難しいですが、カウンセラーと今の状態で取り組める方法を模索しながら少しずつ改善へと向けていきます。


強迫性障害でお悩みでしたら一度ご相談ください。