愛着障害と感情のコントロール

当社では、愛着障害の影響で大人になってから悩みを抱えている方へのカウンセリングを行っています。
愛着障害は、アタッチメントともいわれて幼少期に養育者との間で適切に愛着関係が形成されずに育ち、その影響が自身の精神状態や社会生活に影響が生じて悩みを抱えている状態です。
愛着障害は、本人が無自覚のうちに抱えてしまった問題で、悩みを抱えているけどそれが愛着障害の影響だと気づかない、気付いたとしてもどのように向き合えばいいかわからないという難しさがあるためカウンセリングによる克服の支援を求める人がいる問題であると言えます。

感情のコントロールが上手くできない

愛着障害の人が抱えている悩みとして多いのが、自分の感情を上手くコントロールできないというものがあります。
もう少し詳しく説明すると、他人とのコミュニケーションの中でちょっとしたことで傷つきやすいという傾向があり、感情が高ぶると建設的な話し合いができなくなってしまうことがあるという状態です。
また、過去の失敗をいつまでもクヨクヨと考えてしまい長期間気持ちを立て直すことができないということもよくあります。

二極化思考が感情の悪化につながっている

愛着障害の人は二極化思考が強いという傾向があり、物事を「好きか」・「嫌いか」、「正しいか」・「間違っている」の極端な捉え方をしてしまい、他人の意見が自分の対極にあるとイライラしたり、自信を無くしたりするので感情が不安定になりやすいと言えます。
また二極化思考のために「極端に偏らず、また過不足なく調和がとれている」という中庸という状態があることを受け入れられないため、他人と話し合って折り合いをつけるということができません。

愛着障害と人間関係

愛着障害の影響で感情のコントロールができないという人は、上記で説明した3つの理由から感情が安定しにくいのですが、その影響は生活の様々な場面の人間関係に現れます。
感情のコントロールができずに人間関係で悩んでいる人は、以下のいずれかもしくは複数が当てはまるのではないでしょうか。

親との関係

親との関係では、親の言葉や態度にすぐにイライラしてしまう、自尊心が傷つけられる、愛されていないと感じてしまうなどさまざまです。
愛着障害を抱えた方は、実際の親の養育態度に問題があった、子供が成長してからの関わり方にも問題があるというケースも多いですが、親としては愛情を掛けて育てたという感覚はあるが子供はそう感じることができなかったというケースもあります。
親子間における愛着の形成は、さまざまな要因で妨げられてしまうので親子間に認識の違いが生じてしまい、それが大人になってからの親への不満や不信感になっていることもあります。

友人、職場の同僚との関係

友人や職場の同僚との関係では、自分の言動によって相手の気分を害したり、嫌われるのではないかと思い遠慮した接し方になってしまうという人や相手の何気ない言動にも自分は嫌われたのではないかと思ったり、否定されたと感じて傷つくことがあり、上手く関係を築いていけないということがあります。
他人に嫌われることが怖いため友人ができない、職場の同僚と親しくすることができない、仲良く話ができるようになっても内心では嫌われないかビクビクして接しているというのも愛着障害の影響かもしれません。

恋人との関係

恋人との関係として多いのは、相手から見捨てられることへの不安があり、その苦しさから逃れるために相手との距離をおこうとしてしまう、相手からの愛情を確かめるような言動をしてしまう、自分の気持ちよりも相手を優先して本音が言えなくなってしまうなどです。
これは親しくなると離れたくなる『回避依存症』という心の問題です。
反対に交際相手から見捨てられないように相手の要望になんでも応えてしまったり、相手の問題をカバーし続けたりする『共依存症』に陥ってしまう人もいます。

配偶者、子供との関係

配偶者や子供に対しては、家族なのに愛し方がわからないという感覚を持っている人が多いです。
それは自分が養育者との関係の中で愛着を感じることができなかったため、感覚的に愛着によって結ばれている人間関係というものがわからず、配偶者や子供にどう愛情を表現していいのかわからない、自分は配偶者や子供に愛情を持っていないように感じてしまうということがあるのです。

愛着障害の克服とカウンセリング

カウンセリングでは、愛着障害を克服したいという目的で相談に来られている人は少なくありません。
感情のコントロールが上手くいかずに人間関係で悩みを抱えているという方は、カウンセリングによる愛着障害の克服を考えてみてください。

カウンセリングは、愛着というものは回復できるものだということを感じてもらうように進めていきます。
厳密にいうと、人間の成長段階で得られるものの1つに過ぎないため、その人を支える他の要因を高めていくことを目指していきます。
愛着障害は日常のストレスも増加させてしまうので、カウンセリングではストレスのケアも視野に入れて話を聴かせていただきます。
ストレスが緩和されるだけでも自分のことについてじっくりと考える心の余裕が生まれます。

愛着障害が日常生活に影響を与えてしまっている人にとっては、自分を支えるための心理的要因を作っていくことが大切なので、カウンセラーはその心理的要因が高められるようにアプローチをしていきます。
もし、感情のコントロールや人間関係に悩みを抱えてこのページを読んでおられるのであれば、一度カウンセリングを受けてみませんか。