世の中には上司や経営者からのパワーハラスメント(以下 パワハラ)に悩まされている人がいます。
この記事は、パワハラから自分の心を守り適切な判断をするためのヒントにしていただきたいと思い、企業の中で起きている2種類のパワハラとその対策について考えをまとめたものです。
この記事は、パワハラから自分の心を守り適切な判断をするためのヒントにしていただきたいと思い、企業の中で起きている2種類のパワハラとその対策について考えをまとめたものです。
パワハラは、本来は企業の目的から考えると非合理な行いで、従業員の心の健康を損ない、生産性を低下させてしまう可能性があります。
場合によっては企業の存続すら危ぶまれる事態に発展することもあります。
パワハラが生じてしまう背景には、企業の目的を達成するためにパワハラが合理的だと思い込んでいたり、権限を持っている人間が自分本位な思考で部下に接しているという状態が見受けられますが、パワハラを大きく分けると下記のような分類ができます。
自分がパワハラにあっていたり、社内にパワハラをする従業員がいるという方は、下記で説明しているような視点でパワハラをみると対策方法も見えてくるでしょう。
動機から分類できる2種類のパワハラ
パワハラには、大きく分けると2種類の動機があることが見受けられます。どちらか1つの動機でパワハラをしている人も入れば、2つの動機が合わさっているケースもありますが、まずは1つずつ説明したいと思います。
1つ目は、仕事において成果を上げたい、部下に成果を上げさせたいという売上や利益を上げたいという達成欲求から生まれる動機です。
達成欲求は、自分の力で成果を出したいという欲求ですが、その欲求をコントロールできずに部下に指導や指示をしているとパワハラと言えるような言動になってしまうことがあります。
2つ目は、自分のパワー欲求を満たしたいという動機です。
パワー欲求は、人を自分の言動で動かしたいという欲求で、この動機がコントロールできていないと本来の目的よりも、自分の言動で人を動かすこと自体が目的になってしまします。
この動機を持ってパワハラをしている人は、自分の動機には無自覚であることが多く、建前として自分の言動は仕事で成果を上げるためのものだと思っています。
「達成欲求」と「パワー欲求」は、アメリカの心理学者であるデイビッド・マクレランドが提唱した欲求理論の1つで、その他には「親和欲求」があります。
2つの動機とパワハラが無くならない理由
企業からパワハラを無くすのが難しいのは、上記で説明した2つの理由が関係していると感じています。もしあなた自身がパワハラを受けていたり、社内でパワハラが起きているのなら、それがどちらのタイプのパワハラなのかを把握することが大切です。
達成欲求によるパワハラ
達成欲求によってパワハラをしている人は、自分の言動が成果を上げることにつながると思い込んでいます。パワハラは短期的には部下の行動力を促進することもあるので、上記のような思い込みが強くなってしまいます。
しかし長期的には、パワハラは部下の健康レベルを低下させ、行動力を低下させるため成果も出なくなっていきます。
達成欲求が動機になっているパワハラは、短期的には欲求が満たされてしまい、それが間違った成功体験になってしまうことでパワハラが続いてしまうという傾向があります。
パワー欲求によるパワハラ
人を動かすことによって自分の影響力が実感して満たされる欲求です。適切な影響力で満たされる分には良いのですが、歪んだパワー欲求を持っている人は自分の言動で他人を支配下に置くことでパワー欲求を満たそうとします。
そのため相手が自分に従わないと不適切な言動はどんどん強くなっていき相手を追い詰めてしまいます。
しかし、本人はパワー欲求が一時的に満たされてしまうので、同じことを何度も繰り返してしまうのす。
このタイプの人が上司だった場合、成果を出すことよりもパワー欲求を満たすことを無意識に優先しているので、成果にはつながらない一貫性のない指示や嫌がらせような命令をされ、追い詰められてしまいます。
親和欲求が満たされる職場づくりとパワハラ対策
人間の達成欲求もパワー欲求も適切な行動と結びつかせることができればいいのですが、それらを満たすことが優先されてしまうとパワハラが起こりやすくなります。パワハラのない職場を作るためには、管理職や社歴の長い従業員が達成欲求とパワー欲求を満たすこと以上に従業員の親和欲求が満たされるように振舞うことが必要です。
もしあなたが職場である程度以上の権限を持っているのなら、働きやすい職場づくりのために親和欲求が高まるような工夫をしてください。
まだそれほど権限を持っていないという人であれば、パワハラはあっても親和欲求もある程度満たされる要素がある職場であるか見極めてください。
心理的安全性の高い組織をつくる3つのマネジメント
親和欲求が満たされるということは、自分が大切にされていると感じたり、従業員同士の連帯感や協力体制があると感じることができたり、苦労も喜びも共有できる雰囲気があるような職場であると言えます。このような職場は、心理的安全性が高いため従業員が思い切って仕事をすることができますし、意欲的な従業員が増えるでしょう。
より多くの従業員の親和欲求が高いほど組織の活動力は高まるため、結果的に達成欲求は満たされることになります
私達は上記のような環境作りができるようコンサルティングを行うことがあります。
組織力を高めるためには、自分たちが何を目指しているのかという認知、目的達成のためにどう動く必要があるのかという行動、そして小さなことでも変化する感情の3つのマネジメントを行う必要があります。
認知、行動、感情のマネジメントができていると、パワハラが生じない心理的安全性の維持された組織となります。
私達のコンサルティングは、この3つのマネジメントができるように管理職の成長、一般社員のメンタルケア、ハラスメントの予防などを行っていきます。
パワー欲求で不適切な行動を取る人への対処
パワー欲求については、人を思うように動かしていることで満たすのではなく、適切なマネジメントができていることで満たされるようになることが望ましいと言えます。従業員が自分の言うことを聴いて動くことに満足するのではなく、従業員が自ら考え、必要なサポートだけを周囲から得ながら生き生きと働いている姿を見て自分のマネジメント力を感じられるようになることを目指してほしいと思います。
しかし、パワー欲求を自分本位な動機で満たそうとする人が権限を持ったままでは大切な従業員が会社を離れる可能性が高くなってしまいます。
そのような場合は、一旦権限を小さくしたり、権限を持たないようにしてパワハラをしないように自己改善を図ってもらう必要があります。
私達は、パワー欲求を満たすためのパワハラをしてしまったという人にはコーチングという手段で改善の支援を行っています。
達成欲求によってパワハラをしていた人は、比較的3つのマネジメントを行う能力が身に付きやすいと言えますが、パワー欲求を満たすためのパワハラをしていた人は、一度欲求の自覚と行動のコントロールを身につける必要があります。
パワハラへの対策と自己防衛ができる力をつける
当社では、パワハラから企業や個人を守るための取り組みとして、雇用クリーンプランナーという資格の普及を手掛けています。この資格はハラスメントと労働トラブルの予防、対応ができる知識を身につけるための資格です。
管理職や経営者の方であれば、この資格を取るために学べることを活かして組織運営を行っていけるでしょう。
個人的に勉強をして知識を学びたいという方にとっては、ハラスメントを受けた時に対応できる力を身につけることにつながります。
個人的に雇用クリーンプランナーを取得するメリットは、パワハラに対して知識という心を守るバリアを身につけられる、パワハラを受けても毅然とした対応ができるという効果があると感じています。
また、学生の就職活動や社会人の再就職の際に、雇用クリーンプランナーを持っているとパワハラを行っているような企業は採用を躊躇する可能性があり、パワハラ体質のある企業に入ることを避けられる可能性もあると思っています。
そしてこの資格取得から学べる知識は、企業に対してパワハラを含め、セクハラやモラハラ、ハラハラなどのない職場づくりを進めていける人材として活躍できる可能性を高めてくれます。
どんな職場でも必要な知識であるため、社会人として生活をする上での自己投資の価値がある資格だと考えています。