急にやる気がなくなるバーンアウト

バーンアウトは、燃え尽き症候群とも言われているもので、仕事などの活動で心身のエネルギーを使い果たし、その影響で感情が上手く働かなくなってしまうこと、意欲がわかなくなってしまうことを言います。

燃え尽き症候群になりやすいのは、仕事やスポーツなどで課題を乗り越えるために多大なエネルギーが必要だったにも関わらず、十分な成果が得られないという状況です。
その中には、人の支援をする仕事も含まれていて、学校の先生、医療従事者、介護職、など教育、医療、福祉などの関わる人、その他対人支援の専門職の人、接客業の人はバーンアウトを起こしやすいと言われています。

カウンセリングには、バーンアウトと思われる状態で相談に来る方もおられます。
燃え尽き症候群になっている理由は人によって違いますが、比較的多いのは仕事で地道に頑張っていて、たくさん我慢もしながら働いている人が、何らかの理由で気持ちが切れてしまったという状態で相談に来られるケースです。

バーンアウトの症状

バーンアウトには以下のような症状があります。
以下のような状態になっている場合は、バーンアウトである可能性が高いと言えます。

情緒的消耗感

仕事で情緒的な関わり方が求められ、それを継続することで消耗してしまった状態。バーンアウトの特徴的な症状。

脱人格化

他人に対して無関心になってしまい、相手の感情に配慮した言動ができなくなっている状態。

個人的達成感の低下

対人援助の仕事において、手応えや効果が感じられなず、達成感や有能感が得られなくなっている状態。

バーンアウトになる理由

バーンアウトになっている人は、真面目で周囲の期待に応えようと地道に努力をしている、不満に感じることがあっても耐えているという特徴があります。

このような人がバーンアウトになるのは、自分の行動が認められること、努力が報われることがあると信じていたのに思うような成果が出ない、自分以外の人が評価されてしまう、我慢に終わりがないと感じることがあった、というようなことを体験した時が多いです。

仕事の性質として失敗体験を味わいやすい、長期的に取り組んでいたことが失敗に終わるという場合、または自分が正当に評価されない時や他人に成果を横取りされるという場合は燃え尽き症候群になりやすいと言えます。

努力をしても成果を得ることが難しい仕事

バーンアウトになりやすい仕事は、医師や看護師など命に変わる仕事です。
努力はしたけど命を救うことができないという体験をするので、心理的な負荷が燃え尽き症候群を生んでしまうのです。
また研究開発の仕事も、努力をしたにもかかわらず良いデータが得られない、研修の成果がでないことにより、失敗体験をすることが多いので要注意です。

スポーツ選手も時間をかけて、プレッシャーを感じながら目的達成のために取り組むので、大きな大会を終えた後にバーンアウトになることがあります。

感情労働が求められる仕事

感情労働が求められる仕事もバーンアウトが怒りやすいと言われています。
感情労働とは、相手が心地よくなるような態度を維持して仕事などを行うことを言います。
笑顔や思いやり、心配りを求められる接客業や医療従事者などは感情労働を伴う仕事であると言えます。

感情労働は、表層演技と言って本心を抑え込んで内面とは一致しない感情で人と接し続けることは心に負担になると言われています。
深層演技といって、環境に適した感情を持つように努める方法もあり、その方法は表層演技をするよりもストレスを感じにくいと言われていますが、どんな時ことでも深層演技ができるわけではないので、仕事によっては表層演技で人と接して心が疲れてしまうことは多いと思います。

バーンアウトを生みやすい環境

バーンアウトの人が生まれやすい環境は、努力している人、我慢している人が1人で責任や負担を抱え続けている、そして自分の辛さを話せる人がいないという特徴があります。

または、自分の思いを話すことが出来たとしても、精神論を持ち出して否定されたり、思っていることや状況を理解してもらえないこともバーンアウトを生みやすい環境の特徴です。

緊張の糸を張り詰めている中で、張り詰めた糸が切れてしまうような対応をされてしまう環境では疲れた人の心がさらに追い込まれてしまうのです。

バーンアウトになった人へのカウンセリング

バーンアウトから回復するために必要なことは、カウンセリングによる自己開示と自己受容です。
自分の話を聴いてもらって、思っていることを吐き出すことが大切です。
また、その思いを受け止めてもらい、理解を得られることによって孤独感が和らぐこともバーンアウトからの回復につながります。

カウンセリングは、自己開示ができる機会でもありバーンアウトにつながる表層演技をする必要も無理に深層演技をしようとする必要もありません。
ありのままの思いを話してカウンセラーに受け止めてもらうことで心の疲労を癒していくことができるのです。

バーンアウトは、放っておくと適応障害になったり、うつ症状がでたりすることもあり、それがこじれてしまうと日常生活に支障を来たしてしまうので、状態が悪くなる前にカウンセラーに相談して頂きたいと思います。