性犯罪行為の違いと罪の意識の差

性犯罪加害者が、性犯罪を抑止し続けるためのカウンセリングを何年も行ってきた中で、ある傾向があると感じるようになってきました。

その傾向とは、性犯罪の行為によって罪の意識に差があるというものです。
私が受けてきた相談の中で、比較的多い性犯罪は盗撮、痴漢、露出、強姦です。
私は、盗撮、痴漢、露出、強姦の順に罪の意識が希薄だと感じています。

そのため、盗撮をした人が一番多くカウンセリングを受けに来ていて、しっかりとカウンセリングを継続する人も盗撮をした人が一番多いです。
その次にカウンセリングを継続するのは痴漢をした人で、露出をした人は改善傾向が見られる前に勝手にカウンセリングを中断する人が多いと言えます。
強姦に至っては、10回以上カウンセリングを継続する人は稀で、多くの人が5回以内にカウンセリングを中断したり、中断の意識を示します。

行為に違いはあれど、女性に危害を加える犯罪であるため、罪の意識を持って改善を目指す必要があることは、頭では理解できるはずなのですが、性嗜癖を含めた依存症の人達は否認の心理が強いため、自分の犯した罪を認めない傾向があり、その傾向が盗撮、痴漢、露出、強姦の順に強いのです。

盗撮をする人の罪の意識

盗撮をする人は、写真を撮ることは相手に触れないし、相手が撮られたことに気づかなければ心を傷つけることはないと考えています。
その思考自体が自分の行為を正当化している歪んだものなのですが、傷つけることは罪だという意識はあるようです。

痴漢をする人の罪の意識

痴漢をする人は、満員電車ならわからない、相手が眠っているからわからない、女性は嫌がっていないと、自分勝手な思い込みを持っている傾向が強いと言えます。
また、逮捕された後でも再犯に至る入り口として、満員電車で偶然手が女性の体に当たってしまっている状態は痴漢ではないと解釈しています。
その思考パターンから罪の意識の弱さを感じられます。
カウンセリングの中でも、自分の犯罪歴すべてを自分に問題があると受け入れるまでには時間が掛かることが多いです。

露出をする人の罪の意識

露出をする人は、相手に触れているわけでもなく、自分が恥ずかしい姿になっていることを興奮していて、露出する姿を見せられた人がどう感じているのかということを想像する力に欠けています。
性犯罪者は共感力が弱い傾向がありますが、露出の人は盗撮や痴漢をする人よりも弱く、幼児性が高い傾向があります。
そのため、カウンセリングを受けて改善していく必要性を自覚する力も弱い人が多いと感じます。

強姦をする人の罪の意識

強姦をする人は、性犯罪者の中でも極めつけ共感力が弱く、自分の行為が女性に強い恐怖や屈辱感を与え、トラウマになるほどの心理的ダメージと身体的ダメージを与えたにも関わらず、罪の意識で心が気持ちが沈んていたり、後悔しているという様子が見られることが少ないと感じていています。
カウンセリングに来ていても積極的に話そうとすることはなく、改善のために取り組もうという意識が感じられないことが多いです。

まとめ

性犯罪者の罪の意識は、上記のような傾向があるため、カウンセラーも根気強くクライエントと向き合っていく必要があるのですが、カウンセリングを受けることを強制することは難しいというのが現状です。

現時点で、盗撮をした人は自分の意思のみでカウンセリングを継続している人が多いですが、痴漢、露出、強姦をした人の中でカウンセリングを継続できている人は、ご両親や奥さんの監視やサポートがあって継続できている人が多いのが現状です。

性犯罪者は、否認の心理が強いという特徴がある以上、現状では家族の力を借りてでもカウンセリングを継続して、二度と同じ行為をしない自分を作っていくことが必要です。

性犯罪を抑止するためにカウンセリングに通おうとしている人は、性犯罪の再犯は多いことを認め、自分だけはそれに該当しないと思わず、危機感を持ってカウンセリングを受けて頂きたいと思っています。
ご家族の方には、カウンセリングを継続することをしっかりとサポートしてあげて欲しいと思います。