人と話すときに顔がひきつることで苦しむ表情恐怖症
自分の表情が相手にどう見られているかが気になって仕方がない。
表情を気にしてばかりいることでまともに会話ができない状態になります。
表情恐怖症の悩みは深刻で数年、数10年単位で悩んでおられる方が多く、改善まで時間はかかりやすいのですが、カウンセリングを受けて取り組みを続けていくことで克服へと向かいます。
表情恐怖症とは?
表情恐怖症は自分の表情が相手に嫌な思いをさせていると思い込み、自分の表情がおかしくないかと常に意識し続ける症状です。
相手に嫌な思いをさせているという加害者意識によって自分を責め、罪悪感を抱くことによって苦しみを感じています。
人と対面しているときだけ症状が出る人が多いですが、重度のケースでは一人で家にいるときまで表情を気にし続ける。
1日中表情のことを考え、インターネットやSNSで克服につながる情報を集めている人は少なくありません。
何とかして克服したいと思うあまり表情のことばかり考え、結果としてさらに悪化する悪循環に陥っている人ばかりです。
罪悪感は自分が勝手に作り出したもの
自分の表情で相手に嫌な思いをさせた、場の空気を悪くしてしまった等と思うのですが、実際には相手が覚えていないくらいの小さな影響しか出ていません。
話しているときに緊張で表情がひきつっていたとして相手は違和感を覚える程度。
少し話しづらいなと思うだけで終わるでしょう。
常に表情の変化を気にし続けている自分にとってひきつるというのはとてつもなく大きなことです。
しかし、普段からほとんど表情の変化を気にしていない他人にとっては些細なことでしかないというのが事実だと言えます。
ただ、この話を聞いたところで自分の表情で他人に迷惑をかけていると思う感覚、自分が悪いと思う罪悪感は消えません。
表情恐怖症を生み出している問題が思考ではなく、感情や感覚レベルにあるからです。
表情と感情の連動を失っている
本来、人の表情は感情と紐づいており、面白かったら笑う、嫌だったら顔をしかめるといった形になります。
面白くもないのに笑う愛想笑いというのはありますが、誰に対しても頻繁にすることではありません。
表情恐怖症で相談に来られる方は全員表情がないというのが共通しています。
日々表情のことを気にして不安や罪悪感で落ち込み、常にネガティブな気持ちを耐えるために感情を押し殺す状態になっているからです。
感情の動きがなく落ち込んだ気持ちで表情だけ楽しそうに笑うとどうなるでしょう?
当然感情と連動しない表情になるからひきつった笑顔になるわけです。
唇の震えが気になって人と話すのが怖くなる症状もある
話す時に唇が震えが気になって会話に集中できないという方がおられます。
人と話し始めると唇の震えを感じることがあり、それを自覚すると相手からどう見られているのか、唇が震えていることに気づかれているのではないかと不安になって会話に集中できないのです。
そのため、他人とコミュニケーションを取ることが辛い、人前で話をするのが怖いと感じるようにもなってしまいます。
話す時に唇が震える、口が上手く動かなくなる理由
会話中の唇の震えについて悩んでいる方のカウンセリングを行うことがありますが、その際には自分の状態を客観的に捉えて頂くことが悩みの解決につながっていくので、唇が震える理由について説明させて頂きます。その際には下記のような話を行っているので、参考までに目を通してみて下さい。
話をする時に唇の震えるのは、人間の体は緊張をしていると不随意運動といって自分の意思とは関係なく体の一部が震えるという現象が起きます。
緊張時に震えるのは、病気ではなく人間の体のメカニズム上は起きうることなのですが、人と話すときに起きるので悩みが生じます。
特に、初対面の人、仕事の取引先、先生と話す時やスピーチやプレゼンをする時などは、唇の震えが出ないか気になるし、実際に唇の震えが出ると話すことに集中できないし、上手く言葉が出ないということになってしまうのです。
会話中の表情のこわばりが気になりはじめる
唇の震えを気にして会話をしていると、上手く笑顔が作れなかったり、柔らかい表情で話をすることが難しくなるという悩みにつながってくことがあります。
これは唇の震えを気にしていると顔の筋肉がこわばるようになり、こわばりを感じ始めると『不自然な笑顔になっていないか』、『怖い顔になっていないか』ということを気にしはじめるようになり余計に他人と話をすることが怖くなっていることで生じる悩みです。
唇の震え、顔の筋肉のこわばりは表情恐怖症の症状
唇の震えがでるため話すのが怖いというのは、表情恐怖症の特徴の一つです。
さらに表情恐怖症は対人恐怖症の一種なのですが、唇が震えていること自体ではなく、唇が振るえている自分をどう思われているのかという不安が悩みのとなっています。
表情恐怖症というのは、『唇が震えたらどうしよう』、『笑顔が引きつったらどうしよう』と不安に思うことによって余計にそのようになってしまうという状態です。
これは予期不安といって、パニック障害が起きる時のきっかけともなる心理反応ですが、話すときに唇が震える、笑顔が引きつるという現象がたびたび起きる人は予期不安が強くなっている可能性があります。
表情恐怖症に悩む方のカウンセリング
カウンセリングでは、人と話すときに顔がひきつってしまうことで悩んでいる方のご相談を受けています。
自分の表情ばかり気にしていると、日常生活のコミュニケーションに支障が出たり、他人と接することや外出することができなくなったりしてしまいます。
時間の経過と共に悪化していく症状であるため、悩んでいる方はなるべく早い段階でカウンセラーに相談して頂ければと思います。
いつも通り話をして頂ければ、カウンセラーは話を聴きながら悩みの解決のために必要なサポートを行っていきます。
もし『自分の表情が気になってカウンセリングに集中できないかもしれない』という不安をおもちの場合は、オンラインカウンセリングでカメラ機能をオフにして表情が見えない形でのカウンセリングから始めることも可能です。
最初は表情を見せることに抵抗がある方もカウンセラーと何度か話しているうちにオンラインでカメラをオンにして話をすることができるようになったり、来談をしてカウンセラーと対面して話をすることができるようになっている方もおられます。
カウンセラーは、下記のようなテーマをもとに表情恐怖症に悩む方が人とのかかわりで抱える心理的な負担の軽減を目指していきます。
表情恐怖症を克服するために取り組むテーマ
感情と表情の連動
表情恐怖症は感情と表情が上手く連動しないことによって生じているため、まず感情が動きやすくなるアプローチをおこなっていきます。
カウンセラーの質問に沿って話せる範囲で少しずつお話しください。
今まで誰にも言えず抱え込んでいた苦しみをカウンセリングでお話しいただくことで抑え込んでいた感情が動き出す。
現在と過去を中心に感情を伴ったエピソードを言語化していく中で感情の動きがどんどん出やすくなっていく。
嬉しい、楽しい、面白いといった感情の動きで笑顔になり、嫌、悲しい、つらいといった感情の動きで表情が曇る。
常ににこやかでいられるとは限りませんが、感情が動いて自分がやりたいことができ、人とのかかわりを楽しめる状態になれば、基本的に人を不快にさせるような表情ではなくなります。
不安や恐怖から過度の緊張状態が生じ、表情が固まっている状態ですので、リラックスにつながるアドバイスも積極的におこなっております。
認知の修正
- 真顔だと相手に不快な思いをさせてしまう
- 笑顔でないといけない
- 相手が自分の表情を嫌がって早く会話を切り上げた
こういった思い込みが表情恐怖症の症状へとつながっています。
表情のことばかり考えてきたことで認知が歪んでしまっているのです。
自分の表情が与える影響の大きさ、他人が表情を気にする度合い、笑顔の必要性等、様々な観点で表情に関する知識を得ていく中で認知が修正されていきます。
表情が自分の一部でしかなく、他人に与える影響が小さいと認識できるようになれば症状は緩和します。
人と話すときに顔がひきつってしまうことでお悩みの方はカウンセリングを受けてみて下さい。