「カウンセリングを受けたいけれど、お金がないから無理だ」
このように思ってカウンセリングを受けたくても予約をすることを止めてしまう、または数回はカウンセリングを受けて状態や状況が改善されているのに止めてしまう。
このようなケースは当オフィスでもあります。
しかし、経済的な理由で心の問題を放置することには、かえって経済的な負担が多くなってしまうことがあります。
データから見るカウンセリングを受けることの重要性
では、なぜ経済的な理由でカウンセリングを受けることを止めてしまった場合、余計に経済的な負担がかかってしまうのかということをデータをもとに説明したいと思います。
メンタルヘルスの問題が生活に与える影響
厚生労働省の調査によると、日本人の約5人に1人が生涯のうちに何らかの精神疾患を経験するとされており、うつ病や不安障害は非常に身近な問題です。
特に近年(2025年現在)では、10代~30代の若年層におけるストレスや孤立感が深刻化しており、社会的なつながりが希薄な人ほどメンタルの問題に陥りやすい傾向があります。
また、メンタル不調がある人のうち、実際に医療機関やカウンセリングを利用している人はわずか15%程度(厚労省「こころの健康に関する調査」2022年)にとどまっています。
この数字からは、「病識(病気である自覚)がない」、「調子の悪さは難じているが診断を受けるのに抵抗がある」、「お金がない」、「どこに相談してよいか分からない」といった理由で支援を受けない人が多いことが推測されます。
カウンセリングを受けることで得られる効果
アメリカ心理学会(APA)のメタ分析では、カウンセリング(心理療法)を受けた人のうち、約80%が受けなかった人よりも精神的に良好な状態に回復したと報告されています。
私達もカウンセリングによって、話をして気持ちが軽くなる、孤独感が和らぐ、自分の状態の正しい認識や病気の知識が身につく、認知が変化する、習慣が変わるといった影響を受けて、健全な日常生活を取り戻している人がいることを感じています。
具体的には、カウンセリングには以下のような効果が期待できます。
- 感情の整理や自己理解が深まる
- 問題の根本原因に気づくことができる
- 心の病の知識が身につき改善につながる行動をはじめる
- 人間関係の改善やコミュニケーション力の向上
- 不安やストレスの軽減、睡眠の質の向上
- 自傷行為や自殺リスクの低下
これらの変化は、生活全体の質(QOL)を高めるだけでなく、将来的な医療費や失業リスクの軽減にもつながります。
経済的なコスト vs 心のコスト
一見、カウンセリングは「お金がかかる」ものに見えるかもしれません。
当オフィスなら1回60分で11000円(税込)かかりますが、心の問題を放置することで生じるコストはそれ以上に大きいことが分かっています。
メンタル不調による労働生産性の損失は、1人あたり年間100万円以上(経産省データ)
・メンタル不調が原因での休職や離職のリスクが2倍以上に上がる
・不眠や過食などの二次的な健康被害による通院・医療費の増加
つまり、短期的な出費を惜しんで長期的に大きな損失を被るリスクがあるのです。
他にもある!カウンセリングが必要な心の問題
心の不調を感じるメンタルヘルスの問題だけが人々の生活を追い詰めるわけではありません。
以下ではカウンセリングの依頼の中で非常に多い依存症と夫婦関係の問題を放置するリスクについて説明しています。
「お金がない」という理由で以下のような問題が生じていてもカウンセリングを受けない、途中でやめてしまうことは、余計に経済的に追い詰められる結果となります。
依存症(アルコール、薬物、ギャンブル、買い物、性嗜癖、窃盗症など)
依存症も経済的にはもちろん、健康や人間関係に大きな問題を生じさせます。
まず経済面に直接的に大きなダメージを与える依存症はギャンブル依存、買い物依存です。
アルコール依存や薬物依存は健康に大きなダメージを与え、健康を害してしまうことで働けなくなり経済的にも問題が生じます。
性嗜癖行為による性犯罪をする人、クレプトマニアと言われる万引きや窃盗をする人は社会的信頼を失い、場合によっては普通の社会生活を送る機会を申しない経済的にも困窮してしまいます。
夫婦関係の問題
夫婦関係の悩みを抱えている場合も放置しておくことが経済的負担が大きくなることがあります。
まず2人の関係性の悩みを放置しておくことでそれが関係悪化になると、その時点からカウンセリングを受ける方が改善までの回数が掛かります。
また夫婦関係の葛藤から逃げるために浮気を選択する人がいますが、このようなケースも感情に左右されすぎてしまっては自分に大きな経済的負担が生じることつながります。
依存症も夫婦関係もカウンセリングを受けている人は多く、その後の生活や夫婦関係に変化が見られます。
よりよい生活のためにこれらの問題も放置しないことが結果として経済的負担も小さくするでしょう。
お金がないときに使える制度や選択肢
カウンセリングを受けたいけど経済的な負担を考えると躊躇してしまうという方は、無料や低価格で利用できる選択肢があるので参考にしてください。
自治体の無料相談窓口(市区町村の保健センターや精神保健福祉センター)
自治体の無料相談は、誰でも利用できるところが良い点です。
ただ、対応してくれる人が公認心理師や臨床心理士ではない場合もあります。
自治体の相談員や民間のカウンセラーの中には、精神医学の知識がない、もしくは不十分な人もいるので、心の病で相談をする場合は精神医学の知識を持っている可能性が高い公認心理師か臨床心理士に相談することが理想です。
職場のEAP(従業員支援プログラム)
どこかに勤めている人は、その職場にメンタルヘルスのEAP(従業員支援プログラム)があるかどうか確認してみましょう。
EAPを導入している場合は、そこで働く従業員は無料で受けることができ、費用は職場の経費で支払われるという仕組みになっていることが多いです。
当オフィスでも、いくつかの企業との提携があり、企業の経費でカウンセリングを利用されている方がおられます。
大学の学生相談室や心理相談室
多くの大学では学生向けの相談室が設けられており、学生は無料で相談をすることができます。
また心理学部を持っている大学では、一般の人向けに心理相談室を開設しているところもあり、低価格でカウンセリングを利用できるようになっているところもあります。
ただ、担当してくれるカウンセラーが公認心理師や臨床心理士という場合もありますが、公認心理師や臨床心理士を目指している大学院生という場合もあるので、その点を踏まえて相談するところを選んでください。
自分の健康と未来を守るための投資
カウンセリングという選択肢があっても経済的なことを考えると、心の不調を感じていても「今は苦しいけれど、何とかやり過ごせば大丈夫」と思う気持ちで我慢してしまう人もいるでしょう。
しかし、心の不調は放置すると深刻化し、やがて生活全体をむしばむ危険性があります。
苦しいときこそ誰かに頼ることは、弱さではなく自分を開示できる「強さ」であり、望ましい選択肢を選べる「賢さ」でもあると言えます。
お金がないからといって、あなたがひとりで抱え込む必要はありません。
安心して利用できるカウンセリングルーム
当オフィスは民間のカウンセリングルームですので、どうしてもカウンセリングに一定の料金がかかりますが、2008年から続いているということ、近年(2025年現在)では年間で2000件を超える相談に対応していること、公認心理師が在籍しているということから、心の病に悩んでいる方でもその他の悩みを抱えた方でも安心して相談していただけると自信を持って言えます。カウンセリングが必要な方は一度ご検討ください。