性犯罪を止めることができている人には特徴がある
平成8年から積み上げて来たカウンセリングの実績の中で、4年目くらいから性犯罪、性嗜癖行動の抑止、改善を目的としたカウンセリングを行って来ました。
多くの性犯罪加害者の話を聴き、改善までのサポートを行ってきたからこそわかる性犯罪を繰り返す人と止めることができる人の違いについて記載しています。
これから再犯を繰り返さないためにカウンセリングを受けようと考えている人、夫や子供が性犯罪をして今後どのようにしていけば良いのか悩んでいる方に参考にして頂きたい内容ですので、一度最後まで目を通して頂ければと思います。
カウンセリング実績から見る再犯と改善の可能性
これまでに相談にこられた方の中には、行動の抑止ができており、安定した生活を送っておられる方がおられる中で、再犯をしてしまった方もおられます。
性犯罪の抑止ができている方には共通点があり、再犯に至った方にもいくつかの共通点があります。
このページには、しっかりと抑止、改善のために取り組んでいただけるように、取り組みの目安として、これまでのカウンセリング実績をもとにした情報を掲載していますのでご確認下さい。
カウンセリングを受けても再犯をしてしまう人の傾向
- カウンセリングの中で嘘をついている
- カウンセリングを受けても肝心なことを話そうとしない
- 反省しているので再犯をしない自信があると言う
- 性犯罪をした言い訳、自分がどれほど不幸だったかばかり話している
- 自己判断でカウンセリングを止めてしまう
- 一度カウンセリングをキャンセルした後、忙しさに流されて通わなくなる
- 実生活で自己成長を促す習慣を確立できない
カウンセリングを受けて改善する人の傾向
- カウンセリングの中自分の行いや気持ちを正直に話している
- カウンセリングでは、積極的に話をして気づきを得て洞察を深めている
- 再犯をしない保証がないので危機感は持ち続けたいと言う
- どんな理由があれ、自分の行いは問題があるという認識を持てている
- 勝手にカウンセリングを止めない
- 一度カウンセリングをキャンセルしても、自分の意思で再開する
- 自己成長につながる習慣を確立して、ストレス耐性も高まっている
性犯罪を繰り返す人が持っている思い込みと思考回路
女性が傷つくことは容易に想像できる、逮捕されるとわかっているなど、性犯罪をする人はいくつかの思い込みを持っているという点も共通しています。
性犯罪者の持っている思い込み
- 盗撮は相手に触れないから気づかれない
- 満員電車だと誰が痴漢をしたかわからない
- 女性は触られたり、男性の下半身を見ることを本心では喜んでいる
- 自分は性犯罪を止める気になれば、すぐに止められる
- 逮捕されるのは運が悪いからで、上手くやれば逮捕されない
性犯罪をする人は、主に上記のような思い込みを持っています。
脳科学の分野では、人間がどのような行動をとるかは、どんな思い込みを持っているかに影響されると言われています。
例えば、性犯罪は必ず逮捕されるという思い込みを持っている人なら、確実に逮捕されるための行動を選択することはありません。
しかし、逮捕される確率は少なく、上手くやれば大丈夫だという思い込みを持っていれば犯罪を行う可能性が高くなります。
性犯罪を繰り返す人が持っている思考回路
性犯罪者は、再犯を繰り返す人が多いという認識を持っている人は少なくないと思います。
警察官も、性犯罪者は一度逮捕してもまた再犯をして逮捕することも多いので、性犯罪者には、二度と再犯をして警察に戻ってくるなと伝えることもあるようですが、それでも同じ人を逮捕して取り調べをするということがあるそうです。
では、なぜ性犯罪は再犯率が高いのか。
その理由の1つには、自分を正当化する思考回路というものがあります。
いわゆる否認の心理というものです。
『女性は気づかないだろう』
『女性は嫌がっていないはずだ』
『逮捕されたのはたまたまだから、気を付ければ大丈夫』
『逮捕される可能性の方が少ないはずだ』
など、自分が性犯罪を行うために上記のように考えている人が多いのです。
カウンセリングで話を聴いていても、クライエントから自己を正当化する発言を聴くことは少なくありません。
性犯罪を止めたいのなら思考回路を見直すべき
自分を正当化する思考は、否認の心理と言われる認知の歪みです。
認知とは、自分の見たもの、体験した現実を認識した時に行う判断や解釈のことです。
性犯罪者は、女性に対しても、犯罪行為に対して、さらに自分自身や社会に対しても歪んだ認知を持っていることが多いと言えます。
認知が歪んでいるとストレスを溜めやすい、してはいけないことをするために自分を正当化しやすいということにもつながるため性犯罪を起こしてしまう
のです。
性犯罪者にカウンセリングが必要な理由の一つは、認知の歪みを正す必要があるからです。
一時的に性犯罪をしていなくても、また繰り返すようになってしまうのは、認知の歪みが改善されていないということです。
カウンセリングをしていても、認知の歪みがなかなか変わらない人は再犯の危険性を感じてしまいます。
性犯罪加害者のカウンセリングでは、認知のゆがみを感じた時には指摘して、その歪みに気づき、問題のある行動に繋げないように心構えを作ってもらう
ことも行っています。
性犯罪を止めるための正しい認知の維持
性犯罪を止めるためにカウンセリングを受けている人の中には、認知の歪みがやっと修正でき始めたのに、そのタイミングで自己判断でカウンセリングを
止めてしまう人がおられます。
せっかく認知の歪みが正されても、それを維持することができなければ再犯の可能性は高くなります。
カウンセリングを中断してから数か月後、数年後に再犯をしてしまうのはそのためです。
認知の歪みが正されると、生き辛さが和らいだり、人間関係が上手く構築できるようになる、仕事で成果が出るようになるという変化が起きることが多いですが、その時点で本人も家族も安心してカウンセリングを中断してしまうのはリスクがあるのです。
再犯を止める思考回路を身につけるにはカウンセリングへ
再犯をしないためには、性犯罪に関する正しい知識を得ること、そして性犯罪をしていた自分のことをよく理解することが大切です。
誰もが自分が犯罪者だったという事実を自覚して生きることは楽ではありません。
しかし、再犯をしない生活を続けるためには、犯罪を繰り返していた自分の思考の癖を自覚して、自分の思考がその癖に戻ろうとしても自分の意思で止めることが必要です。
再犯をしないためには、再犯をしてしまうかもしれない自分を観察する自分を心の中に育てる必要があります。
その観察する自分が、おかしな思考に戻ろうとしている時、衝動が出て来た時にストップをかけてくれるのです。
カウンセリングを受けることは、自分に対する観察力を高めることになります。
言い方を変えると自分を認知する力を高めるということです。
再犯をしないためには、カウンセリングの中で日々の自分の出来事や心境などを話しながら自分を認知する力を高めて欲しいと思います。
性犯罪加害者のカウンセリングでは、話をすることや条件反射制御法という方法を用いるなどして、クライエントの思い込みを変えていくことを目的としています。
思い込みが変わり、自分の人生をより良くする習慣も身につけることができれば、再犯の可能性を著しく低下させることができると、多くの性犯罪加害者のカウンセリングを行ってきた中で感じています。
自分が性犯罪加害者であるという方、家族が性犯罪をしてしまったという方は、一日でも早くカウンセリングを受けて下さい。