学校でいじめが起きる原理

学校生活では、昨日まで仲良くしていた人同士がいじめる側、いじめられる側になってしまうことがります。
些細なことでいじめになるきっかけを生んでしまわないために、いじめが生じた時に早い段階で対処するためには、いじめがなぜ起きるのかその原理について公認心理師が説明しています。

学校でいじめが始まる理由はいろいろあると思いますが、この記事では仲良しグループから始まるいじめを取り上げています。
学校生活を送っている学生さんはもちろん、いじめに対処することが求められる先生達にも読んで頂きたい内容です。

3者関係の葛藤がいじめの始まり

AはBと仲がいい、AはCと仲がいい、BはCと仲がいいという3人グループがあって、その中である日を境にAさんがBさんに不満を持つようになります。
そして、その不満をCさんに話すようになりました。
何度もAさんからBさんの不満を聴き続けているCさんは、Aさんのことは好き出し、Bさんにも不満はなかったけど、Aさんとの関係を維持するためには同調した方がいいと無意識に感じてしまい、いつの間にかCさんもBさんに不満を持つようになってしまいました。

AさんとBさんの間には、Aさんが不満を感じる出来事があったのは事実ですが、BさんとCさんの間には、CさんがBさんに不満を持つような出来事は起きていません。
しかし、仲の良いAさんから、Bさんへの不満を聴き続けていると、いつの間にかCさんもBさんへの不満を持つようになってしまったのです。

バランス理論

バランス理論とは、対人関係において3人以上の関係性において、3人の間の認知関係のバランスを保とうとする人間の心理が生じるという理論です。

もともと3人はお互いに友好的な感情を持っていたので、3者関係はバランスが取れていたのですが、Cさんにとっては、AさんともBさんとも仲が良いが、AさんとBさんの関係は悪化しているという状態では、AさんとCさんは仲が良いのに、Bさんに対しては異なる感情を持っていることになるので、CさんはAさんと同じような感情をBさんに向けた方が、Aさんとの関係は安定するため、3者関係のバランスを取るためにCさんはBさんに不満を抱くようになるのです。

バランス理論からいじめへ

2人の人が、1人の人に不満を抱き、その思うを共有することによって不満は正当化されながら大きくなっていきます。
本来は、AさんとBさんが話し合えば収まる不満だったとしても正当化され、大きくなってしまうと、不満が無視、陰口、仲間外れという行動に形を変え
てしまいます。

自分達の不満が正当化してしまうと、自分達の行動まで正当化してしまうようになり、いじめという自覚なくいじめが始まってしまうのです。

そして、この状態からクラスメイトをどんどん巻き込んでいくようなことになると、Bさんはクラス全体からいじめられるという状態になってしまう恐れがあります。

仲良しグループからいじめを生まないためには

仲良しグループの中でいじめを生まないためには、上記のAさんがBさんに不満を持つようになり、その不満をCさんに話すようになった時のCさんの態度が重要になります。

Aさんとも仲良くしたいCさんは、ついAさんに同調してしまいがちになるのですが、Aさんが持っている感情はあくまでAさんのものであり、自分の感情ではないと自覚しながら、Aさんに共感はしても同調はしないように話を聴いてあげることが大切です。

いじめを生まないための共感力

共感は、Aさんの思いを感じながら、理解できるということを態度によって示すことです。
そして、Aさんの気持ちが共感してもらったことで鎮まることが理想です。
それに対して同調は、Aさんの感情に合わせて、自分の感情も高揚させたり、同じ意見だと伝えてしまうことです。

人間は、身近な人の感情に自分の感情が引きずられやすいので、同調ではなく、共感しながら話を聴くことは難しいのですが、いじめが生まれる原理を頭の片隅に入れておいて、自分にも同じようなシュチエーションがやってきたら、共感を意識して不満を持っている人の話を聴いてあげて欲しいと思います。
その心掛けと行動がいじめを生まないための大切な取り組みです。


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