依存症かもしれない、でも認めたくないという心理
依存症とは、別名アディクションとも言われており、自分にとって不利益、不都合と分かっていてもある特定の行為をやめられない状態のことを言います。
人は誰しもある程度何かに依存してストレスを軽減することは、心の健康上必要かもしれませんが、自分の意思でコントロールができない程の依存は、その人の精神的、身体的、社会的な問題を引き起こすことにつながります。
また、依存症は、否認の病とも言われており、自分の行いを異常だと認めない所に、改善の難しさがあります。
厳密に言うと改善が難しいというより、改善の入口に立ち、改善のための行動を継続することが難しい心の病です。
そして、依存症の改善が難しいもう1つの理由は、イネイブラーといって依存症の人が依存を続けられるように、借金の返済をしたり、起こした問題の尻拭いをしたりなど、依存行動を援助してしまっている人がいることです。
そのため、依存症は家族や恋人などイネイブラーとなっている、またはなってしまう可能性のある人も含めてカウンセリングをしていくこと必要です。
依存症と否認の心理
依存症がに否認の病と言われるのは、自分が依存症であること、自分の行動が健康、財産、人間関係などに弊害を生んでいること、依存行動を止められない状態であることなどを認めない
否認の心理が強くなっているという特徴があるからです。
否認の心理が強い状態だと、家族など周囲の人の意見に耳を貸さずに依存行動をつづけるために、周囲の人が本人に生じている問題の尻拭いを始めてしまってイネイブラーになってしまうのです。
依存症の人の家族や恋人は、『いつかわかってくれるだろう』と思いながら本人を支えようとするのですが、依存症は脳に不適切な習慣が身についてしまった状態なので、克服をするための適切な取り組みをしなければ依存行動は止まりません。
依存症は本人にとって不適切なストレスコントロールの方法なので、否認の心理を改善しつつ、適切なストレスコントロールの方法を身に付け、依存行動を止めていく必要があるのです。
ストレスが溜まると依存行動を起こしやすい
依存症になっている人が、自分が依存症であることを否認するのは、依存症の原因の1つであるストレスの蓄積に気づいていないからだと言えます。
カウンセリングでは、ストレスと依存行動の関係について説明をするのですが、しっかりと理解をして頂けるとストレスを実感できるようになり、少しずつ克服に向かっていきます。
依存症の克服において、自分が抱えているストレスと行動の関係を理解しておくことは大切なことですので、ストレスと依存行動の関係についても説明しておきます。
ストレスが高いと誘惑に負けてしまう
依存症の背景には、ストレスの蓄積があります。
ギャンブル依存で借金をした人、アルコール依存や薬物依存で入院しなければならなくなった人、万引きや性犯罪で逮捕された人などに対して、ストレスの性にしてはいけない、気持ちが弱いからだという人がいますが、ストレスが蓄積すると脳は命を守るための防衛をしようとします。
その防衛の方法は人によって個人差があるのですが、依存行動を選択することもあるのです。
ストレスレベルが上がってくると人間は誘惑に対して抵抗力が弱くなります。
そのため、パチンコや競馬、アルコールや薬物、異性、その他手に入れたい、やってみたいという気持ちに対して抑制が効かなくなってしまうのです。
ストレスに負けやすい人の生活習慣
ストレスが高いと誘惑に負けやすいのですが、依存症の人の話を聴いていると生活習慣がだらしない、もしくはストレス要因が多いという共通点があります。
例えば、夜はスマホやパソコンを触っていて睡眠時間が短い、運動不足、休日は寝てばかりと生活習慣に改善の余地が多かったり、仕事を抱えすぎている、嫌な同僚や上司に対して我慢ばかりしている、マイナス思考で自分を責める傾向が強いなど、精神的に負荷のかかりやすい状態です。
生活がだらしないということは、何か目的をもって思考する習慣、決断をする機会がないため、欲求をコントロールする前頭葉が鍛えられません。
そして、そのような傾向を持っている人は、ストレスを高める刺激に対して無防備で、対処をしないためストレスレベルが高くなります。
依存症から抜け出すために必要なこと
ストレスレベルが高くなる依存行動を選択しやすくなりますが、生活習慣がだらしない人はもともと自分をコントロールすることが苦手な傾向があり、何かに依存したこととそれを抑止する意思が弱いことが重なって依存症になっていくのです。
ストレスがきっかけで依存症になっている人は、ストレスレベルを下げ、ストレスをコントロールする手段を身に付けることが必要になります。
また生活習慣に関しては、どのように改善すればいいかを知り、少しずつ改善していくことが必要です。
自分の意思だけで必要なことに取り組むことができればいいのですが、依存症の人の中には改善しようとしても失敗を繰り返しているという人もおられるので、カウンセラーに相談して頂くことをお勧めします。
依存症という状態は、自分の意思の力だけで改善することは難しいので、早い段階で適切な方法で改善を目指すことが大切です。
依存症の種類
アルコール依存症
アルコールを飲まないとイライラしたり、落ち着かなくなり日常生活や健康に支障が出る程お酒を飲んでしまう。
アルコール依存を治すのは、自分の意志だけでは大変こんなので、必ず専門家に相談することが必要です。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症の人は、ギャンブルをする事でストレスや心の葛藤を処理している場合が多いが、仕事や家庭を崩壊させてしまう恐れがある。
この症状も専門家を頼り、心の問題を解決することが必要です。
恋愛依存症
心が空虚で満たされ思いがあり、それを埋める為に恋愛関係を結びます。
常に恋愛をしていないと安心できず、一つの恋愛が終わってもまたすぐに次の相手を探すということを繰り返します。
恋愛依存症の人は、相手に何かを求めるばかりかなので相手と対等な人間関係が結べません。専門家に相談し、自分の心と向き合うことが必要です。
ネット依存症
ネット依存は、インターネットサーフィン、ネットゲーム、SNSなどにのめり混みすぎて、生活にさまざまな支障を期待している状態です。
現実の葛藤を避けるためネットの中に逃げ込んでいる状態であるとも言えます。
ネット依存は、引きこもりにつながることもあり、他の依存症よりも社会適応の妨げになる可能性も高いため、自立して生きていくためには早い段階の改善が必要です。
性依存症
性依存は、性嗜癖行動を含む性的な行為が、不適切、不健康であっても止めることが出来ない状態です。
性依存は、人間関係の悪化につながる場合もあれば、性犯罪になる行為もあり、カウンセリングにも性犯罪が止められないということで相談に来られる人が非常に多いです。
性依存は、人間のより本能的な欲求が関係しているので、止めるためにはしっかりとカウンセリングという形で専門家のサポートを受けて下さい。
共依存症
「私がいないとダメなんだ」と、思い込んでしまう何か欠落した人と付き合うことで自分の存在価値を確認する症状。
ダメな人とそれを世話をする人が、、お互いに依存しあいお互いの成長を止めてしまう。
子供の頃に、親の愚痴をいつも聞かされたり、どちらが親なのか分からないような生活強いられた子供は共依存症になることが多い。
共依存はイネイブラーの一つの形です。
依存症の相談へのカウンセリングでの対応
依存症のカウンセリングは、心の病のカウンセリングの中ではある意味困難であると言えます。
それは、カウンセリングがクライエントの悩みの改善を目的としているという観点からいうと、依存症の人は本気で改善したいと思っていないことも多く、改善がみられない早い段階でカウンセリングに来なくなってしまうからです。
依存症の人は、ある条件下のもとで不適切な脳のスイッチが入って、問題となる行動を選択してしまうので、そのスイッチが入っていない時は比較的に脳は健康な状態にあります。
そのため、しっかりとカウンセリングを受けていただければ改善していくことは可能です。
カウンセリングでは、依存症改善の妨げであり、カウンセリングに来なくなる原因にもなっている否認の心理を壊すことから始めます。
『自分は依存症ではない』、『自分の意思で改善できる』、『自分は困っていない』というような思いが依存症の人には見られるので、この認識を正していくことが改善の始まりであり、重要なポイントです。
否認の心理がなくなってくれば、依存症に戻らないために日常生活の中での本来の課題に向き合って、ストレスがあっても現実逃避をしなくても済むような心のスキル、意志の強さ、生活習慣を確立していただくように進めていきます。
依存症チェックテスト
当てはまる項目がないかチェックしてみて下さい。
○分かっているけど食べられない、食べ過ぎてしまう
○健康を害するとわかっていてもやめられない行為がある
○生活費の浪費、借金が続いていてもやめられない行為がある
○恋愛で相手を束縛してしまう
○犯罪と分かっていてもやめられない行動がある
○睡眠時間を削っても続けてしまう習慣がある
○上記のような行為があるが、自分は依存症でないと思う
テストの結果はいかがでしたか?
該当するものが1つでもあれば依存症の可能性があります。
さらに一番下の依存症であることが認められないという項目が該当する場合は、依存の度合いも高いと言えるので、一度カウンセラーご相談下さい。