性犯罪者は、同じ過ちを繰り返すというイメージを持っている人は多いでしょう。
実際にカウンセリングを受けに来られる方の中にも、数回逮捕された後に初めてカウンセリングを受けることを決めたという人もおられます。
性犯罪は再犯が多いというのは事実です。
しかし、性犯罪を行った当の本人は、この事実を認めずに生活していることが多いという点も再犯が起きる理由の一つです。

性犯罪の再犯の可能性が高いと自覚するべき

盗撮、痴漢、露出、強姦などは、犯罪行為に当たるということを分かっているはずで、その上で犯行に及んで逮捕された後も何の対策もせずに生活している人がいるのですが、世間では再犯の可能性が高い犯罪だという認識が強いのに当事者は逮捕されたのでもう再犯をするわけがないと表面意識では考えています。

しかし、再犯が多い理由は、深層意識ではまた同じ行為を行いたいと思っていて、その思いが衝動として表面意識に上がってきても再犯を防ぐような対策をせずに生活しているためです。

ストレスは原因ではなく引き金

性犯罪をしている人の多くは、犯罪を実行する少し前から過度なストレスを抱えていることが多いのですが、脳はストレスを抱えていると、危機的状態だと認識してストレスをどうにかして緩和しようとします。

そして、脳内でドーパミンという物質が増えるとストレスが緩和されるので、それが増えるためにスリルを体験して、その上欲求を満たすことができると
思われる性犯罪に走ってしまうのです。

男性は、ストレスの緩和のためにスリルと興奮を味わおうとする傾向があるので、ギャンブル、乱暴な運転、暴言や暴力などをする可能性が高まります。
性犯罪もその一つです。

さらに、上記のような行動でストレスが緩和されてしまうと、脳はストレスという危機から命を守った行動で、自分にとって良い行動だと勘違いして記憶
してしまうのです。
その記憶は深層意識の中では、またストレスが蓄積した時には同じ方法をとればストレスが緩和されるものだという認識のものになってしまいます。

性犯罪者は、この脳の奥深くに根付いた勘違いをカウンセリングによって正す必要があるのです。

カウンセリングで再犯の可能性を潰す

再犯防止のカウンセリングでは、性犯罪の脳のメカニズムをよく理解して上で取り組んで頂くことが重要です。
カウンセリングの中では、メカニズムについて説明をするのですが、理解をしようという意識が低い人は油断をカウンセリングを勝手に中断して再犯を
してしまうという傾向もあります。

脳は、自分の命を守る行動に関してはしっかりと記憶しておこう、深く考えなくても行動を起こせる状態にしておこうとするので、逮捕されても再犯をしてしまうのです。

人間としての意識は良くないことだとわかっていても、動物として本能で自分の命を守ろうとする脳の働きが良い行動だと認識したままにしておくと再犯が起きる可能性があるのです。

カウンセリングの目的の一つは、その脳の勘違いを正すことでもあるのです。
しかし、自分にとって良い行動だと記憶してしまうからこそ再犯する人もいて、それはカウンセリングを受けている人も例外ではありません。
せっかく性犯罪の抑止と改善のためにカウンセリングを受け始めたのに、カウンセリングを改善のために必要な取り組みだという認識が弱い人は再犯に至る可能性が高いのです。

正直に話すということが脳の抑止力を高める

性犯罪を繰り返さないためには、カウンセリングの中で自分の心の中で起きていることを正直に話すことを繰り返し、深層意識の中にある間違った思いを
正すこと、深層意識から表面意識に上がってきた欲求に気づき行動化を止めることができるようにしなければならないのです。

心の中に衝動が出てきているのに嘘をついていると、脳は衝動に気づく力も衝動を抑える力も強くなりません。
嘘をついている時点で脳の中で起きた働きを否認しているので、脳はその働きに対応する力を育てる必要性を感じないからです。


性犯罪を止めるためには、脳のメカニズムに関心を持ち、わからないことがあればカウンセリングの中でカウンセラーに確認して、メカニズムへの理解を深めていって下さい。