
「最近、職場の部下/後輩が、なんだか素っ気ない」
「以前はもっと雑談をしていたはずなのに必要最低限の会話しか成立しない」
「下の世代が育たない、すぐに辞めていく…」
そんな思いを肌で感じたとき「なぜ?」という困惑と「自分は悪くない」「最近の世代は」という防衛本能が同時に湧き上がります。
しかし、その違和感が正解であるならば、そこには必ず無意識に放った嫌がられる要因が存在しています。
本記事では、職場で避けられ始めた人が向き合うべき”無意識のハラスメント”と関係を修復するための具体的なステップ、そして考えの癖を紐解くためのカウンセリングの重要性についてお伝えします。
部下や後輩に「避けられる」という現象の正体
人は、理由もなく人を避けることはありません。
特に職場において、あからさまに距離を置くという行為は、避ける側にとってもリスクのある行動です。
それでも距離を置く道を選んだのは、あなたとの接触がその人にとって心理的苦痛や疲弊になっているからです。
ハラスメントという言葉が一般的になった現代、暴言やセクシュアルなどあからさまなものは減少しました。
しかし、その水面下で増殖しているのが自覚なき”精神的な搾取”です。
また、水面下であるからこそ精神的な被害の主張がしづらく、結果として”やんわり避ける”という行動にならざるを得ないところがあります。
「善意」の皮をかぶった心理的拘束
明らかな暴言やセクシュアルな発言ではなくとも人の心に負担を与えてしまうことは多くあります。
以下のような発言は負担になるようなものではないと思うかもしれません。
しかし、実態を見れば何かしらのプレッシャー、負荷を与えている部分があるのです。
「君は今年で35歳か、俺が昇格した歳だなあ」
何気ない会話のようですが「自分は君の年齢の時に昇格できた」とマウント的な要素を含んでいます。
言われた側は「すごいですね」としか返せません。
その言わされているという感覚が精神的な疲弊を招きます。
また、今年昇格しないと自分は上司よりも”できない人間”のように位置づけられてしまうプレッシャーを与えています。
そもそも仕事への位置づけは個々で異なりますし、昇進を望んでいない人も多くいます。
他にも「昇進できるよう応援してる」「頑張って」等、”昇進は良いことだ”という価値をその人に押し付けていることになります。
誰かが昇進したことは喜ばしいことかもしれませんが、昇格することを相手に強いるのはおかしいですよね。
「成功する人としない人の違いは自己投資するかどうかだよ」
これも一見すると自己啓発的でポジティブなアドバイスのように聞こえます。
しかし、これをもしあなたが勤務時間外の残業や勉強会への参加を断ろうとしたときに言われたとしたらどうでしょう。
その言葉の裏側には「これを拒否するなら、君は成功しない側の人間だ(=やる気がない、センスがない)」という脅迫が隠れています。
この無意識の脅迫で「この投資(サービス残業、勤務外の勉強会など)が正当か有益か」の判断が難しくなってしまいます。
本来、自分の意志で自分のライフスタイルに合った自己投資を選択していきます。
しかし「成功する人は」「センスのある人は」「優秀な人は」と一見魅力的な言葉を使うことで、それらの言葉の対になる「成功しない人」「センスのない人」「優秀でない人」という烙印を押されるかもしれないという不安を煽り、自分の意志での決断を鈍らせてしまうのです。
「いつもありがとう、頼りにしてるよ」
これも感謝の言葉なので発言だけを取り上げるとポジティブなものだと思います。
しかし、以下のような状況だった場合はどうでしょうか?
例1)
いつも提出期限を守らない上司のフォローアップをさせられている状況。
自分がフォローしてるためなんとか回っているが上司にはもっと主体的に取り組んでもらいたいと思っている。
にもかかわらず、「いつもありがとう、頼りにしてるよ」と言われたらどう思うでしょうか?
「いやいや、あなたがやらないからやってるだけでしょ」と反発心が生まれ、「なぜ自分がやらないといけないんだ」とうんざりした気持ちにさせられます。
例2)
誰が対応してもいい来客対応やコピー機の用紙補充などの”名もなき業務”を誰も進んでやっていない。
しかし、しないわけにはいかないため、いつも自分ばかりやっている。
このような状況で「いつもありがとう」「頼りにしてるよ」と言われるとまるで自分の業務であるかのように感じさせられてしまいます。
また、感謝の気持ちを述べることを、やらないことへの”免罪符”にしているようにも捉えられてしまいます。
イメージしづらい場合は以下の状況を想像してみてください。
例3)
デート代はいつも自分が支払っていて女性は財布を出すこともない。
たまには出そうとしてほしい…あるいは割り勘を提案しようか迷っている…
このような状況の時に「ありがとう」と言われたらどうでしょうか。
割り勘の提案は当然しづらくなりますし、支払いは「自分がすべきなんだ」という位置づけになってしまいます。
ポジティブな言葉に聞こえるものでも、状況や関係性の中では人に「圧」を与えるものになることもあるのです。
「ありがとう」という甘えは、正当な報酬や業務調整を放棄し、相手の善意を搾取する免罪符になり得ます。
これらの圧を感じると、言っている本人に悪意があるかどうかは関係なく、距離を置きたくなるものです。
自分の言動を省みるための「3つのチェックリスト」
もしあなたが避けられているかもしれない違和感を感じているなら以下の3つのポイント振り返ってみてください。
正論を”武器”として使っていないか
正しいからといって相手の気持ちを無視していいわけではありません。
逃げ道をすべて塞ぎ論破したとき、相手の心に残るのは「納得」ではなく「不快感」です。
正論を言われた相手は「正しいことを言っているから」と思うことで反論の余地を失い、追い込まれた気持ちになっていきます。
言葉と行動に”二重構造”はないか
「あなたのため」と言いながら、実際には自分の手柄のため、あるいは自分が楽をするために動いていませんか?
言われた側は「私のために言ってくれているんだ」と思いつつ、でも、「それってただ自分が楽したいからじゃない?」という疑惑が出てくる。
相手はあなたの表面的な言葉ではなく、意図を敏感に察知しているのです。
不機嫌な態度で周囲をコントロールしていないか
無言の圧力、ため息、素っ気ない態度、忙しそうに振舞う仕草。
言葉を使わずに相手を萎縮させ、自分の思い通りに動かそうとする「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」は、最も人を遠ざける要因の一つです。
不機嫌になったとき態度に出ていないかどうか振り返ってみてください。
失われた信頼を取り戻すために
「避けられている」と気づいたとき、焦ってコミュニケーションを増やそうとするのは逆効果です。
相手の許容範囲を無視して土足で踏み込めばさらに距離を置かれてしまいますからね。
言葉と態度の修正が必要となります。
ステップ1:アドバイスと精神論を封印する
しばらくの間、相手の人生やモチベーションに対する口出しを一切やめましょう。
業務上必要なことだけをフラットかつ丁寧に伝えるようにします。
ステップ2:相手の労力を具体的に認める
抽象的な「ありがとう」をやめましょう。
そして、「あなたの時間を30分奪ってしまったね」「この作業は大変だっただろう」と相手が払った労力を具体的に言葉にして労います。
ステップ3:自分の弱さを認め、謝罪する
もし過去の自分の圧に気づいたなら一対一の場面で感じている気持ちを伝えてみてください。
「あの時、自分の価値観を押し付けてしまったかもしれない」「負担をかけていたら申し訳ない」等。
相手に許しを求めるようなものではなく、ただ「気づいた」という事実を伝えることが重要です。
なぜ、自分を一人で変えるのは難しいのか
ここまで読んで、「頭では分かっているけれど、つい正論を言いたくなってしまう」と感じる方も多いはずです。
それは、もしかするとあなたの言動の根底に自身の「心の傷」や「強い不安」が関係している場合があります。
「自分も厳しくされてきたから、それ以外の接し方が分からない」
「成果を出さないと自分の価値に影響する」
「誰かに必要とされたり尊敬されていないと、存在意義を感じられない」
これらは職場のスキルアップ研修やハラスメント対策講座だけでは解決できません。
仕事のやり方や単なるコミュニケーションの問題ではなく、過去の体験から形成された心の在り方の問題だからです。
カウンセリングを通して得られるもの
カウンセリングは、”病んでいる人”が行く場所ではありません。
「自分の言葉がなぜ意図せず人を傷つけてしまうのか」「なぜ他人に圧をかけてしまうのか」という謎を、カウンセラーと共に解き明かしていくことが大切です。
以下の点についてカウンセリングで取り組んでいきます。
メタ認知の向上
自分が発する言葉が、相手にどう届いているかを客観的に把握するよう意識づけします。
自己受容
自分の不安を直視し、それを他者への攻撃やコントロールに変えずに自分の中で整理し対処できるように目指します。
関係性の再構築
コントロールでも依存でもない、対等で心地よい距離感の築き方を考えていきます。
「避けられている気がする…」という孤独なモヤモヤはあなたが本来持っている誠実さやより良い人間になりたいという願いの裏返しでもあります。
本当に無神経な人はその違和感にすら気づきませんからね。
今、その違和感と向き合い、自身の気持ちの整理とコミュニケーションの改善を目指していきましょう。
まずは一度ご相談ください。












