性犯罪の再犯につながる思考回路とは

最近、性犯罪に関するニュースの件数が増えているような気がしています。

仕事柄、性犯罪者の更生をサポートするカウンセリングを行っているため、ニュースを見ているとどうしても目に留まるのかもしれませんが、盗撮、痴漢、強制わいせつなどの犯罪行為によって逮捕された人のニュースが増えていると感じるのです。

性犯罪を繰り返す人が持っている思考回路

性犯罪者は、再犯を繰り返す人が多いという認識を持っている人は少なくないと思います。
警察官も、性犯罪者は一度逮捕してもまた再犯をして逮捕することも多いので、性犯罪者には、二度と再犯をして警察に戻ってくるなと伝えることもあるようですが、それでも同じ人を逮捕して取り調べをするということがあるそうです。

では、なぜ性犯罪は再犯率が高いのか。
その理由の1つには、自分を正当化する思考回路というものがあります。
いわゆる否認の心理というものです。

『女性は気づかないだろう』
『女性は嫌がっていないはずだ』
『逮捕されたのはたまたまだから、気を付ければ大丈夫』
『逮捕される可能性の方が少ないはずだ』

など、自分が性犯罪を行うために上記のように考えている人が多いのです。
カウンセリングで話を聴いていても、クライエントから自己を正当化する発言を聴くことは少なくありません。


性犯罪を止めたいのなら思考回路を見直すべき

自分を正当化する思考は、否認の心理と言われる認知の歪みです。
認知とは、自分の見たもの、体験した現実を認識した時に行う判断や解釈のことです。

性犯罪者は、女性に対しても、犯罪行為に対して、さらに自分自身や社会に対しても歪んだ認知を持っていることが多いと言えます。
認知が歪んでいるとストレスを溜めやすい、してはいけないことをするために自分を正当化しやすいということにもつながるため性犯罪を起こしてしまう
のです。

性犯罪者にカウンセリングが必要な理由の一つは、認知の歪みを正す必要があるからです。
一時的に性犯罪をしていなくても、また繰り返すようになってしまうのは、認知の歪みが改善されていないということです。
カウンセリングをしていても、認知の歪みがなかなか変わらない人は再犯の危険性を感じてしまいます。

性犯罪加害者のカウンセリングでは、認知のゆがみを感じた時には指摘して、その歪みに気づき、問題のある行動に繋げないように心構えを作ってもらう
ことも行っています。

性犯罪を止めるための正しい認知の維持

性犯罪を止めるためにカウンセリングを受けている人の中には、認知の歪みがやっと修正でき始めたのに、そのタイミングで自己判断でカウンセリングを
止めてしまう人がおられます。

せっかく認知の歪みが正されても、それを維持することができなければ再犯の可能性は高くなります。
カウンセリングを中断してから数か月後、数年後に再犯をしてしまうのはそのためです。

認知の歪みが正されると、生き辛さが和らいだり、人間関係が上手く構築できるようになる、仕事で成果が出るようになるという変化が起きることが多いですが、その時点で本人も家族も安心してカウンセリングを中断してしまうのはリスクがあるのです。

再犯をしないための思考を身に着ける方法

再犯をしないためには、性犯罪に関する正しい知識を得ること、そして性犯罪をしていた自分のことをよく理解することが大切です。

誰もが自分が犯罪者だったという事実を自覚して生きることは楽ではありません。
しかし、再犯をしない生活を続けるためには、犯罪を繰り返していた自分の思考の癖を自覚して、自分の思考がその癖に戻ろうとしても自分の意思で止めることが必要です。

再犯をしないためには、再犯をしてしまうかもしれない自分を観察する自分を心の中に育てる必要があります。
その観察する自分が、おかしな思考に戻ろうとしている時、衝動が出て来た時にストップをかけてくれるのです。

カウンセリングを受けることは、自分に対する観察力を高めることになります。
言い方を変えると自分を認知する力を高めるということです。
再犯をしないためには、カウンセリングの中で日々の自分の出来事や心境などを話しながら自分を認知する力を高めて欲しいと思います。